FSSC22000取得のメリットとは?費用や有効期限の疑問も解決
食品製造業
2020.09.23
2024.02.02更新
ISO22000より、厳密なプログラムが定められているFSSC22000。審査を通過することも簡単ではありませんが、FSSC22000の認証取得に向けて動き始めている大手企業の食品メーカーも少なくありません。
ただ、中にはFSSC22000についてよく分からないと悩む人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、FSSC22000の概要や取得するメリットを解説していきます。
FSSC22000 とは
FSSC22000 とは「The Foundation of Food Safety Certification」による食品安全マネジメントシステムの規格です。
「The Foundation of Food Safety Certification」は、2004年にオランダで設立された食品安全認証財団で、従業員の服装や行動ルール、現場の清掃手順などを徹底的に管理して、安全な食品を消費者に届けることを目指しています。
2008年に英国規格協会(BSI)より発行されたPAS220:2008と、2009年に国際標準化機構(ISO)より発行されたISO/TS22002-1を結合して、開発された認証スキームがFSSC22000です。
2010年には、食品安全システムの継続的改善を目的に設立された世界食品安全イニシアチブ(GFSI)により、食品安全のための認証スキームとしてFSSC22000が承認されました。
FSSC22000を取得するメリット
GFSIにも承認されたFSSC22000ですが、取得することは決して義務ではありません。ただ、FSSC22000を取得することで得られるメリットがあることも事実です。どんなメリットを得られるのか確認していきましょう。
食品トラブルのリスクを低減できる
FSSC22000を取得することで細部まで徹底管理できるので、人の健康に悪影響を与えるような異物混入などの食品トラブルも未然に防ぐことができます。
また、もし問題が起こったとしても早期に問題点を明確化できるため、工程が中断したり製品を回収したりしなければいけないリスクも回避することが可能です。
トラブルが発生すると作業が滞るだけでなく、最悪の場合、企業としての信頼も失うので、リスクを低減できるのは大きなメリットだといえます。
全体を可視化して徹底管理
FSSC22000を取得すれば、原材料の調達から消費者に届けられるまでの工程において透明性を高められるため、サプライチェーン全体を可視化して徹底管理することが可能です。
たとえ、トラブルが発生したとしても原因を突き止めやすいので、早めの対応・改善が見込めます。
さらに製造工程も可視化されるので、作業のムダも浮き彫りに。作業効率や歩留まりの改善にも役立つので、組織体制の強化にもつながります。
顧客や消費者からの信用と信頼を獲得
FSSC22000は、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000をベースにした、より高いレベルの食品管理を求める規格です。
そのため、FSSC22000は、ISO22000より厳しいプログラムが設定されており、細部にまで一定の基準が求められます。
そんなFSSC22000の認証を受けた企業は、顧客や消費者からの厚い信用と信頼を獲得できることは間違いありません。
FSSC22000取得に関する疑問を解決
実際にFSSC22000の取得を目指すにあたり、分からないことも多いでしょう。そこで、FSSC22000取得に関する疑問をまとめました。分からないことは、事前に解消しておきましょう。
取得の費用はどれくらい?
FSSC22000の審査や登録の費用は、企業の従業員人数や取り扱う製品によって大きく異なるのが現状です。たとえば、30人規模の食品工場なら、認証登録をする1年目は約150万円が目安になります。
ただ、条件が少し変わるだけで費用も変わるので、まずは第三者認証機関に見積もりを出してもらってから判断しましょう。
認証の有効期限は?
FSSC22000において、認証の有効期限は3年です。登録後の流れとしては、1年目に登録審査を行い、2年目と3年目には運用やマネジメントシステムが機能しているかを確認する維持審査を受けます。
4年目には更新審査を受けて認証されると、また翌年・翌々年に維持審査を受けるというサイクルで更新されていくのが通常です。
社内体制を整える必要はある?
社長や役員、工場長など企業のトップを中心に、FSSC22000に取り組む体制が必要です。
FSSC22000は審査を受ける前に、現場の分析やシステムの構築、審査関連資料の作成など準備することも多く、実際に審査を受けて認証登録するまで1年を要するケースがほとんどです。
そのため、社内の部署からメンバーを収集してプロジェクトチームを立ち上げる会社も少なくありません。
まとめ
ISO22000より取得が難しそうなFSSC22000ですが、審査を通過すれば取引先や顧客、消費者の信頼度も一気に高まります。特に、近年は食品の安全に関する関心も高まっているので、積極的に取得する企業も増加傾向にあるようです。
審査から認証登録まで1年ほど要しますが、食品トラブルを低減できるうえに作業の可視化で、作業効率も高められる効果も期待できます。ぜひこの機会に、FSSC22000の取得を検討してみましょう。
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