内部監査とは何?目的や主な監査の流れ「6ステップ」などを解説

 

内部監査とは、経営目標を効果的に達成するために組織内で行う監査のことです。合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、経営状況を調査・評価し、助言や勧告を実施します。

 

内部監査という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような目的があるかは分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では内部監査を行う目的や実際の内部監査の流れをわかりやすく解説します。

内部監査とは?

 

 

 

そもそも監査には、外部監査と内部監査があります。外部監査は公認会計士などが実施する監査ですが、内部監査は組織の内部から選出された調査員が行うため、規定が分かりにくい部分があるのです。

 

そこで、ここでは内部監査の調査員や実施の義務についてくわしく解説します。

組織の内部の調査員によって行われる監査

内部監査の調査員は、組織内の監査役や監査の担当者が担当します。基本的には社長の特命を受けて行うのが一般的です。

 

調査員は監査計画の時点で選定されます。公正な監査のために、監査の対象となる部門に対する権限を持っていないことが条件です。精神的に客観性を保つことができる人材が任命されます。経験が豊富で、公平性を保つことができる、視野の広い人材が任命されると考えておきましょう。

 

また、内部監査には特に必要な資格などはありませんが、資格を取得することで専門的なスキルを証明できます。例えば、公認内部監査人(CIA)は、内部監査に関する知識を証明できる資格です。

 

これはアメリカ発祥の資格で、日本でも試験を受けることができます。内部監査を行う人材を選定する際には、基本的な知識やノウハウを持っている方を選ぶとよいでしょう。

内部監査は任意監査で会社独自のルールも

2006年の会社法の改正により、一定規模以上の会社で内部統制システムを求められるようになりました。内部統制システムとは、会社の業務の適正を確保するための体制で、この体制の確認を行うのが内部監査です。

 

ただし、内部監査は法定監査ではなく任意の監査。そのため、内部監査は義務付けられているわけではありません。一般社団法人日本内部監査協会の「内部監査基準」は定められていますが、会社独自のルールで監査が行われることも。

 

これに対して、外部監査は一定規模以上の会社では実施が義務付けられており、法定監査として内容が定められているのです。

内部監査の目的とは?

 

 

 

内部監査は業務監査を中心に行われることが多く、社内のルールを守られているか、会社のリスクになるような行為がないかという部分を確認していきます。内部監査の目的について、詳しく確認しておきましょう。

リスクの低減や不祥事の防止

リスク低減の実施は「リスクマネジメント」とも呼ばれます。内部監査をすることで、社内で不正が起こるリスクに気づき、不祥事を未然に防ぐことができるのです。

 

内部監査のチェック項目は企業ごとに異なりますが、最近ではリスクの特定や不測の事態が起きた場合の行動方針などが盛り込まれる傾向にあります。企業がリスクを適切に把握するために、内部監査は必要不可欠といえるでしょう。

企業が発展するための改善策を助言、勧告

経営目的を達成するための流れや、その評価を「ガバナンスプロセス」といいます。「ガバナンス」は、企業の管理体制を構築することです。企業内部を統治し、企業運営上のあらゆるリスクを減らすことをいいます。

 

また、「プロセス」は過程という意味を持ち、つまり、企業運営におけるリスクを減らす過程といえるでしょう。内部監査では経営目的を達成するために、適切な業務が行われているかを調査。企業の発展を目的とした改善策を助言し、場合によっては勧告します。

 

あくまで企業発展のために支援するという立場なので、事業内容を効率的に行えるような助言で、従業員が働きやすい環境を作ることが目的です。

業務の有効性や効率性を高める

内部監査では、企業が設定する目標達成の基準を設けているかの確認をし、組織をコントロールする手段の有効性を確認。つまり、経営者が組織をコントロールするための手段に、妥当性・有効性があるかを調査することで、企業が維持されることを目的としています。

 

経営陣が会社をコントロールすることで、業務の有効性や効率性を高めていくことができるからです。このコントロールが有効に行われることで、先述のリスクマネジメントやガバナンスプロセスが機能するため、経営者の目標達成の基準は重要だといえるでしょう。

主な監査の流れ「6ステップ」を解説

 

 

内部監査の主な流れを「6ステップ」で解説します。会社ごとにチェック項目の違いはありますが、主な流れは同じです。

監査計画

まずは、会社規定のルールに沿って監査の計画を立てます。これは監査の範囲や方向性などを定める、内部監査の計画の土台となる部分です。この時点で、監査部門の人材が選定されるので、先述の内部監査にふさわしい人材が任命されます。

 

また、内部監査ではリスクマネジメント、ガバナンスプロセス、コントロールにおいて必ず監査業務か診断業務が行われます。監査計画の期間は、会社の規模や監査対象部門の範囲によって長期間にわたるケースもあり、中長期的な計画や、年度の計画となることもあるのです。

予備調査

予備調査とは、本調査の前に行うもので、4週間前までに実施されるのが理想です。本調査の前に予備調査を行うので抜き打ち監査ではなくなりますが、一般的な内部監査に関しては、対象部門に内部監査の通達を出して、予備調査を行ってから、本調査を実施します。

 

不正が行われているという通報がない限りは、内部監査では予備調査をすることが一般的です。これは、内部監査が有効的な実施を目指しているからで、監査を受ける側が前もって準備をしておくと効率が良く、メリットがあるからと考えられています。

本調査

本調査は、監査計画に従って行います。監査の要点に関する書類などをもとに監査を実施。監査の要点は会社ごとに異なりますが、業務マニュアルに沿って業務が行われているか、経理の計上に不正がないかなどを調査、分析することは共通しています。

 

この時点で、監査対象部門の問題点が判明する場合も。改善できる可能性があれば、監査対象部門の責任者と話し合いをします。

評価

監査が終わったら、監査部門は要点ごとに調査した証拠となる書類や調査、分析の結果から評価を行います。評価内容や調査、分析の結果を報告書に残し、経営者や対象部門への報告に使用するものです。

 

また、報告書は今後の監査の精度を上げるためにも役立ちます。監査部門はこの報告書をもとに、内部監査のノウハウを積み上げていくのです。

報告

監査部門は、報告書をまとめた後に社長や経営幹部へ報告と説明を行います。内部監査で経営に関する問題が発覚していた場合には、証拠の提示も求められるのです。

 

また、同時に監査対象部門にも報告と説明を行います。報告をすることで改善につなげるというプロセスになるので、重大な不正がない限り、改善提案につながる報告となるのです。

改善方法の提案

内部監査で改善点が見つかった場合には、監査部門から監査対象部門へ改善方法を提案。改善方法は、何を改善するべきだと判断されたか、どのように改善するべきか、いつまでに改善へ向けた対策を取るのかなど、具体的な方法を両部門で取り決めます。

 

提案後も、監査部門はその進捗を確認。改善が進んでいるか再調査をします。このように改善に向けたサポート体制を「フォローアップ」といい、問題点が改善していることを見届けるのです。改善が完了することで、内部監査は終了となります。

まとめ

 

 

 

内部監査とは、企業の経営において重要な監査です。内部監査は「リスクの低減」「改善策の助言」「業務の有効性」などを調査することで、企業が経営目標を効果的に達成することを目的としています。そのため、有効に実施することができれば、企業の力を高めることにつながるでしょう。

 

監査部門が正しい方法で監査を行うことも大切ですが、監査対象部門も有効的な監査を受けられるように協力する必要があります。企業の発展のために、目的を持った内部監査を行いましょう。

 

 

新規CTA

カテゴリから探す