ISO認証を返上する企業が増加している?返上の理由や方法を解説

ISO規格の導入に注目が集まる一方で、取得したISO認証を返上する企業も少なくありません。多額のお金と時間をかけて取得したにもかかわらず、ISO認証を返上する企業が増えている理由を知りたい人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、企業がISO認証を返上する理由を解説します。返上する方法も紹介するので、ISO認証の更新を検討中の企業はぜひ参考にしてください。

そもそもISOとは?規格や認証の違い

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これからISO認証の導入を検討する人に向けて、まずはISOの概要を解説します。

ISOとは

ISOは、スイス・ジュネーブに本拠地を置く国際標準化機構「International Organization for Standardization」の頭文字を取った略称です。国際標準化機構とは、ISO規格と呼ばれる世界の標準を決めることを目的とした団体で、1947年の発足以来2万を超える規格を定めてきました。私たちが住む日本も加盟国のひとつです。また、日本以外にもさまざまな国が加盟しており、2020年時点では世界162カ国がISOに加入しています。

ISO規格やISO認証とは

製品やサービスを同じ品質で提供するための国際的な基準をISO規格といいます。いわゆる世界で定められた物差しのようなもので、ISO規格の要求事項を満たすマネジメントシステムを構築すれば国際的な取引も円滑に進められるのが特徴です。

 

一方、ISO認証とは、ISO規格のマネジメントシステムを満たしていると認定を受けた企業に対して付与される証明書です。ISO認証を受けるには、ISO規格が定めたマネジメントシステムを構築し、第三者機関による審査を通過しなければいけません。また、ISO認証を継続的に保有するには、「維持審査」や「更新審査」を受けることが必要です。

 

ISOマネジメントシステムの種類

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ISO規格のマネジメントシステムは、5万種類以上を超えるさまざまな種類が存在することを知っていますか。ここでは、多くの企業から注目を集める代表的なISO規格である5種類を紹介します。

ISO9001

ISO9001は、顧客満足度を上げることを目的としたマネジメントシステムです。国際的な基準に沿って商品やサービスを提供することで、顧客満足度だけでなく業務効率の改善や組織体制の強化の効果を得られるのも大きな特徴。世界的にも注目を集めるISO9001は、全世界170カ国に拠点を置く多くの企業で導入されています。

 

▶︎ISO9001とは?認証取得までの流れを簡単にわかりやすく解説

ISO14001 

ISO14001 は、環境パフォーマンスを向上させることを目的としたマネジメントシステムのことです。環境パフォーマンスとは、企業が環境に配慮した行動で、どれだけ環境の負荷を削減したかを示す指標になります。環境パフォーマンスを向上させることで、環境リスクの低減や回避はもちろん省エネルギーや資源の節約が見込めるのもISO14001 を導入する大きな特徴です。

ISO22000・FSSC22000

ISO22000は、より安全な食品安全管理を行うことを目的としたマネジメントシステムのこと。FSSC22000は、ISO22000規格を元に要求事項をさらに強化した国際規格です。この規格の対象組織は、腐敗しやすいハムやソーセージなどの動物性製品・果物や野菜ジュースなどの植物性製品・缶詰や砂糖などの常温保存品・ビタミンや添加物などの化学製品などがあります。

ISO27001

ISO27001は、企業が持つ情報を守りながら有効的に利用するための枠組みを作ることを目的とした情報セキュリティーマネジメントシステムのこと。このシステムは、情報の機密性・完全性・可用性の軸にしてバランスよく構築し、情報漏洩のリスクや従業員の意識向上といった効果を得られるのが特徴です。情報化社会において多くの企業の注目を集めるISO規格だといえます。

ISOを返上した理由

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ISO認証を受けることは企業に大きな効果をもたらしてくれる一方で、返上する企業がいることも事実です。そこで今回は、一度取得した企業がISOを返上した理由を紹介します。

審査費用が高かったから

ISOを返上した理由で一番多い意見が、審査費用が高かったということです。審査費用にかかるお金は審査期間によってそれぞれ異なりますが、30万円から100万円が相場になります。また、ISOは認証を受けたあとも更新していくための費用が毎年発生。ISO認証後に十分な効果を感じられていない企業は、更新費用を支払うことに疑問を感じて返上を選択するケースも多いようです。

手間がかかり過ぎる

前段落で記載した通り、ISO認証を受けたあとも毎年審査を受ける必要があります。取得から1年目と2年目は「維持審査」、3年目は「更新審査」を受けなければいけません。毎年訪れる審査の準備に手間がかかり過ぎると感じる企業が多いようです。また、従業員の中には新しいシステムに慣れるまでに時間がかかる人もいるため、再教育などの手間がかかってしまいます。人手が少ない企業の場合は手間を省くために返上を選択するケースも少なくありません。

期待した効果が得られなかった

ISO認証を受けたものの、実際に実践する中で期待した効果が得られなかったことを理由に返上する企業も少なくないようです。多額の費用と時間を割いてISO規格を導入しているため早急な効果を期待する企業も多いですが、ISOを導入した初めの年は期待する効果を得られないことも多いもの。継続的な改善を行うことで、少しずつ効果が出ることを認識する必要があるでしょう。

保有する理由がなくなった

そもそもISO認証を保有する理由がなくなり、返上を選択した企業も多いようです。企業の中には取引先や親会社との取引上取得が必須だったため、ISO規格を導入する企業も少なくありません。しかし、その取引先との契約が終了したり親会社の都合で継続しなくてもよくなったりする場合に、返上を選択する企業も多いと言われています。

ISOを返上する方法は?改善策もあり

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ISO認証をどのように返上すればいいのかわからない企業も多いのではないでしょうか。そこでここからは、ISOを返上する方法を紹介します。

ISOの返上方法

実はISOを返上する方法はとても簡単で、審査を受ける第三者機関に返上希望の旨を伝えるだけです。第三者機関によって対応方法はさまざまですが、書類作成を求められるケースもあります。返上を伝えたあとは認証登録を取り消す手続きが行われ、ISO認証の有効期限が切れた段階で利用できなくなるのが通常の流れです。名刺や会社案内などにISO認証を表明している場合は、それらを修正することが求められます。

内部監査を行う

社外に向けて表明することはできませんが、ISOの返上を受けて内部監査を充実させ消費者や取引先の信頼を維持することもひとつの方法でしょう。内部監査とは、企業の内部の人間が組織の業務を検査することです。内部監査で改善が必要な業務があれば、監査員がそれを指摘して改善策を考え効率化を目指します。ISO認証を受けなくても内部監査で業務の改善や組織体制の強化は図れるといえるでしょう。

まとめ 

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ISOを返上する企業がいることは事実です。返上する方法も簡単なので、ISO認証に関してこのまま保有しておくべきか悩んでいる企業は、内部監査などを取り入れるなど別の方法を検討するのも一つの選択でしょう。しかし、早急な結果が出なくて返上を考えている企業は、継続的な改善を続けることで少しずつ効果が出る可能性もあります。十分に検討したうえで返上するか決断しましょう。

 

 

 

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