官能検査とは?基礎的な情報や実施の際のポイントを解説

検査はさまざまな種類がありますが、その中には官能検査と呼ばれるものがあります。初めて聞いた方にとっては、一体どのようなものなのか想像できないかもしれません。そこでこの記事では、官能検査の基本的な情報や実際に行う際のポイントなどについて紹介します。

 

官能検査とは

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官能検査とは、視覚や聴覚、嗅覚など人間の感覚を活かした検査のこと。品質管理手法の1つとして製品を検査する方法としてはいくつもありますが、一番ポピュラーなものが官能検査です。具体的に用いられる業界としては、食品や香料、工業製品など。特に食品業界では、実際に人が食べるものだからこそ重要な検査とされています。

 

官能検査自体は、さまざまな企業で用いられているものです。「ごはんですよ!」で有名な桃屋の場合は、食品の味や匂いだけではなく、色調や歯ごたえなどもチェック。

 

また、ハウス食品分析テクノサービスでは、機器分析で数値化する物性評価と官能検査を組み合わせて特徴となる指標を明らかにします。なお、費用に関してはパネル6名で2検体、6項目までの場合で36,000円(税抜)。パネリストを12名にする場合は、72,000円(税抜)かかります。

 

醤油で有名なキッコーマンの場合は、官能検査の1つである定量的記述分析法を用いて検査。ボキャブラリーやコミュニケーション能力が高いパネリストを選抜し、検査で感じられる特徴を具体的な言葉として表現させます。この方法は官能評価手法の中で最も多くの情報量を得ることができ、海外では一般的な方法です。

官能検査にはどのような種類があるのか?

 

官能検査の種類は主に3つで、「二点識別法」「三点識別法」「一対比較試験法」です。これらは全て異なるため、それぞれどのように違うのかチェックしながら、この項目を読んでいきましょう。

検査方法1.二点識別法

二点識別法は、差のある2つのサンプルを用意して、指定された特性について該当するサンプルを判断させる方法のこと。指定された特性は会社によって異なりますが、「柔らかさ」や「硬さ」などが挙げられます。

検査方法2.三点識別法

三点識別法では、3種類のサンプルを用います。ただし、すべて同じわけではありません。2種類だけ同じサンプルを用意し、どのサンプルが他と異なるサンプルなのか検査するのです。この検査では、同じサンプル同士に差異があるのか調べたりパネリストの識別能力を測ったりなどの目的があります。

 

また、二点識別法よりもサンプルが多いことから、さらなる集中力が求められるという利点も。集中力が高いと、その分精度の高い検査が実現できます。

検査方法3.一対比較試験法

こちらの方法は複数のサンプルを調べる時に用いられるもので、2つのものを一対一で比較することを繰り返し行います。まとめて検査するのは、どうしても負担がかかってしまうもの、しかしこの方法であれば、一対一で検査することからそこまで負担になりません。その上、比較する際の矛盾が生じにくいという利点もあります。

官能検査を行う上でのポイント

 

最後に紹介するのは、官能検査を行う上でのポイントです。検査であるため、適当に行うことはできません。できる限り精度の高い検査を実現するためにも、この項目でポイントを抑えておきましょう。

きちんと見本を用意する

官能検査をする上で、見本は必要なもの。官能検査における合否の判定基準にもなるため、きちんと用意しておきましょう。見本があれば、合否の判定に迷っても見本と比較することで決めやすくなります。

環境の整備もしっかりと

官能検査は人間の感覚を使う検査であるため、周辺の環境を整えなければなりません。サンプルとは関係ない匂いや音があれば、正しく判定できなくなります。だからこそ、検査内容だけをチェックするのではなく、検査を行う環境(照明や清潔度など)についても確認しておきましょう。

検査作業を統一化する

検査をしていくにつれて段々と疲れが溜まっていき、精度が下がってしまう恐れがあります。そのようなことを防ぐためにも、マニュアルの作成といった検査手順の統一化を目指しましょう。また、検査時間の上限を設定しておけば、疲れによる精度低下を防ぐ策となります。

検査する上での教育も忘れずに

検査は誰でもできるものではないため、作業手順や注意点などを伝える教育も忘れずに行いましょう。検査方法だけを伝えるのではなく、判定理由なども教えておくことで製品の改善にも繋がります。

まとめ

 

今回は、官能検査の基本情報を紹介しました。官能検査は食品や工業製品などの検査で用いられる方法であり、三点識別法や一対比較試験法などがあります。実際に行う上で知っておくべきポイントもありますが、この記事をしっかりと把握した上で仕事に活用してもらえれば幸いです。

 

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