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在留資格の特定技能1号2号とは?外国人を雇うときの注意点

作成者: カミナシ編集部|2020.11.01

日本では1997年をピークに15歳以上65歳未満の生産年齢人口が減少しています。そのため、2019年より人手不足が深刻な産業分野において特定技能での外国人の受け入れが可能となりました。しかし、日本人にとってみると特定技能という言葉はあまり聞き慣れないかもしれません。そこで今回は特定技能1号2号とは何か、特定技能ビザを取得するための条件、外国人を受け入れるときの注意点などを解説します。外国人を雇いたい人にとって有益な情報をまとめました。

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在留資格とは

特定技能について解説する前に在留資格について理解しておく方がよいでしょう。在留資格は33種類あり、それらは「活動類型資格」と「地位等類型資格」の2つに分けられます。

 

活動類型資格とは、特定の活動を行うことで日本に在留できる資格のことです。例えば、プログラマーとして日本の会社に就職する外国人は学歴や能力などを総合的に判断して日本にとって必要な人材だと認められた場合「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を得られます。

 

ただし、あくまでもプログラマーとして認められている状態であり、日本で飲食店を経営したりプロスポーツ選手になったりはできません。もともと在留することを認められた経緯に対応した活動を行うことで日本に居続けられるわけです。活動類型資格の種類としては、外交や芸術、教育などがあります。

 

一方、地位等類型資格とは、定められた身分または地位を有するものとして日本に在留することを認める資格のことをいいます。例えば、日本人と結婚して日本人の配偶者という立場になったときに在留資格は与えられるのです。他には、永住者や定住者、永住者の配属者などもあります。

 

「活動類型資格」と「地位等類型資格」は性質が異なるものですので、分けて理解しておくとよいでしょう。なお、在留資格のうちの1つが特定技能ビザという位置づけです。2018年の臨時国会において「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が可決・成立し、特定技能ビザが新設されました。

特定技能ビザとは

特定技能ビザとは、中小企業をはじめとした深刻化する人手不足に対応するために、一定の専門性や技能を有して即戦力として期待できる外国人に与えられるものです。国内では人材確保が困難な状況にある産業分野に対応するための制度として作られました。2018年の閣議決定では、介護やビルクリーニング、素形材産業など14分野が対象とされています。

技能実習ビザとの違い

特定技能ビザと混同されやすいものとして技能実習ビザがあるので、その違いを解説しましょう。

 

技能実習ビザの目的・趣旨は、日本の技術や知識を開発途上地域へ移転して開発途上地域の経済発展を担う人づくりに寄与するという国際協力の推進です。技能実習ビザを労働力の需給の調整手段として使うことは禁止されています。

 

特定技能ビザと技能実習ビザは目的や趣旨がまったく異なるということを理解しておいてください。

特定技能ビザ1号2号の違い

特定技能ビザには、「特定技能ビザ1号」と「特定技能ビザ2号」の2つがあり、それぞれ少しずつ特徴が異なるので比較してみましょう。とりわけ注目したい点をピックアップしてみました。

 

 

特定技能ビザ1号

特定技能ビザ2号

在留期間

1年、6カ月または4カ月ごとの更新、通算で上限5年まで

3年、1年または6カ月ごとの更新、通算の上限は定められていない

家族の帯同

基本的に認められない

配偶者や子どもは要件を満たせば可能

技能水準

試験で確認

(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験免除)

試験で確認

日本語能力水準

生活や業務に必要な日本語能力を試験で確認

(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験免除)

試験での確認は不要

転職の可否

一部条件付きで可能

一部条件付きで可能

 

表にて違いを比較したところで、それぞれについてさらに詳しくみていきましょう。いずれも外国人を雇ううえで知っておきたい内容です。

特定技能ビザ1号の特徴

限定した産業において特別な育成や訓練を受けることなく業務を遂行できる水準の知識や経験を持った人を対象としています。いわゆる即戦力にあたるでしょう。

 

なお、受入れ機関または登録支援機関は特定技能ビザ1号の外国人に対して支援を行う必要があります。具体的な支援としては、入国時の出迎えや帰国時の見送り、生活のための日本語習得のサポートなど。その他、外国人が日本人との交流促進にかかわる支援といったものもあります。

在留期間や家族の帯同の可否

在留期間は1年、6カ月または4カ月ごとの更新となっており通算で上限が5年までです。家族の帯同は基本的に認められていないので単身での日本在留となるでしょう。出稼ぎという呼ばれ方をすることも。

技能や日本語能力のレベル

技能と日本語能力は試験でレベルをチェックします。ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人は試験の免除が認められているため、技能実習生から移行する人も少なくありません。技能実習生の頃から人となりを知っていると長期雇用につなげやすいこともあります。

転職の可否

同じ業務区分または試験にて技能水準の共通性があると判断された業務区分の間であれば転職が可能です。ただし、正当な理由がないのにも関わらず退職から3カ月以上経っても特定技能に該当する活動を行っていない場合は、在留資格を取り消す可能性があると定められています。

特定技能ビザ2号の特徴

次に、特定技能ビザ2号について詳しく解説しましょう。限定した分野における熟練した技能を要する業務に従事する者の在留資格です。大きな特徴は、支援計画の策定や実施は不要という点。雇用する企業はメリットに感じるでしょう。

在留期間や家族の帯同の可否

在留期間は3年、1年または6カ月ごとの更新。特定技能ビザ1号とは違って在留期間の上限は設定されておらず、条件を満たせば永住申請もできます。また、配偶者や子どもであれば家族の帯同が認められているのが特徴です。家族での移住が可能なため、特定技能ビザ2号を目指す外国人は少なくありません。

技能や日本語能力のレベル

技能水準は、分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験で確認されます。なお、日本語能力の水準については試験での確認が行われていません。しかし、試験における日本語能力のチェックは必須ではありませんが、実際のところは仕事面や生活面などで支障のないレベルであることがほとんどです。

転職の可否

転職については、特定技能ビザ1号と同じで、同じ業務区分または試験にて技能水準の共通性があると判断された業務区分の間であれば転職が可能です。外国人は転職可能という点にメリットを感じることも。

 

ただし、正当な理由がないのにも関わらず退職から3カ月以上経っても働いていない場合は在留資格が取り消される可能性があります。実際に在留資格の取り消しが行われた事例もあるので、継続的な雇用を維持できるように努めたいところです。

特定技能ビザを取得する条件

少し前文で触れましたが、特定技能ビザを取得するための条件をまとめてみましょう。日本で外国人を雇う際には気を付けたいところです。

特定技能評価試験に合格する

まず、特定技能評価試験に合格するという方法があります。特定技能評価試験とは、技能水準と日本語能力水準の2つを試されるものです。2019年から宿泊業や介護業、外食業などの試験が始まりました。

 

例えば、宿泊業では60分30問のマークシートによる筆記試験と5分程度3問の口頭試験があります。原則として日本国外で実施されており、ベトナムやフィリピン、カンボジアなどが対象です。

 

その他、介護技能評価試験・介護日本語評価試験や外食業技能測定試験などがあります。

技能実習2号を修了する

また、技能実習2号を良好に修了した者は特定技能ビザの取得が認められます。技能実習2号の特徴は以下の2点です。

 

  • 技能実習1号から技能実習2号へ移行するには、所定の技能評価試験(学科と実技)に合格しなければいけない
  • 技能実習1号から技能実習2号へ移行が可能な対象職種には制限がある

 

また、大前提として、技能実習2号を良好に修了した外国人でも無条件で特定技能の試験が免除になるわけではありません。

 

例えば、建設関係の技能実習で「とび」や「大工工事」といった作業名の作業を行っていた場合は免除対象外です。

 

一方で、技能実習で「左官」や「鉄筋施工」といった作業名の作業を行っていた場合は、同じ業務を行う場合のみ試験が免除されます。

 

ただし、条件は修正されることもあり、現時点での条件は逐一チェックする必要があるでしょう。

外国人を受け入れるためには

特定技能ビザ1号の外国人を雇う際は、特定技能所属機関(受入れ企業)または法務大臣が認めた登録支援機関が日本での生活や就労を支援する計画書の作成や提出、実行が必要です。それでは、特定技能所属機関と登録支援機関について解説しましょう。

特定技能所属機関

特定技能所属機関は、特定技能外国人を雇用する企業(受入れ企業)のことです。特定技能所属機関は外国人を雇うなら、仕事面はもちろんのこと生活面でも支援をしなければいけません。支援の内容には専門的なこともあるので、特定技能所属機関独自で対応するのが難しいともいわれます。

登録支援機関

登録支援機関とは、特定技能所属機関に委託されて特定技能外国人の支援計画の作成や提出、実施を行うところです。登録を受けるためには、5年以内に出入国していて労働法令違反がないという条件があります。また、外国人が理解できる言語で支援できる体制を整えないといけません。

 

登録支援機関の義務としては、外国人への適切な支援や出入国在留管理庁への各種届出があります。これらを実施しないと登録を取り消されることもあるでしょう。

 

外国人と特定技能所属機関・登録支援機関とのやりとりや関係性はやや複雑ですが、適切に対応する必要があります。トラブルなく外国人を雇うときの注意点です。企業独自で外国人雇用に対応するのが難しいようであれば登録支援機関を活用するとよいでしょう。判断を誤って法律を違反することになってはいけません。

まとめ

今回は特定技能1号2号とは何か、特定技能ビザを取得するための条件、外国人を受け入れるときの注意点などを解説しました。

 

日本人を雇う場合よりも複雑なことを理解しなければいけないため億劫になってしまったかもしれません。しかし、優秀な外国人は多くいます。その外国人らを無視することはできません。

 

また、一度外国人を雇用するための注意点を理解することで、スムーズに対応できるのではないでしょうか。外国人労働者が会社にとって有益な人材になる可能性は大いにあります。