【管理者必見】製造業でのiPadやタブレットの活用・成功事例まとめ。メリットや具体的にできることを解説

食品や機械製造業の工場で、作業方法の共有や記録もiPadやタブレットを導入すれば、飛躍的に業務効率が向上します。しかし、具体的にどのように使用すればいいかわからない方や、既に使用してるものの上手く活用できている感覚がないと悩んでいる工場長や管理者の方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、この記事では製造業でiPad・タブレットを活用してできることを7つに絞って紹介します。実際にiPadやタブレットを活用して、工数削減に繋がった成功事例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

製造業でiPadやタブレットを活用してできる7つのこと

製造業でiPadやタブレットを活用してできることとして、主に以下の7つが挙げられます。

 

  1. マニュアルや帳票への記録の電子化
  2. 紙の帳票の確認や承認、転記作業の簡略化や時間削減
  3. 高水準での品質管理業務
  4. 製造で使用する設備の管理や保守
  5. リアルタイムでの在庫管理
  6. 精緻な生産スケジュールの策定と管理
  7. 従業員への教育

 

これらの活用方法を導入して得られる結果やメリットについて、1つずつ詳しく解説します。

1.マニュアルや帳票への記録の電子化

製造業がiPadやタブレットを導入すれば、マニュアルや帳票への記録を電子化できます。

 

例えば、マニュアルを電子化すると、業務中にいつでもその場でマニュアルを確認できます。仮に紙のマニュアルとなると、内容によっては膨大な厚さ・重さになってしまうでしょう。そうなると、見たいページを直ぐに開けられなかったり、気軽に持ち運べなかったりします。しかしマニュアルを電子化すれば、膨大なページ数の内容でも端末1つに保存できます。

 

また、電子化したマニュアルは文字・画像だけでなく、動画を使って作業工程などを提示できます。そのため、紙のマニュアルよりもわかりやすく記載できるため、誰が見ても同じ作業が可能になります。業務の質のバラつきも軽減されます。

 

さらに、帳票への記録も電子化することで、リアルタイムで情報の共有が可能になります。入力に特別なスキルは必要なく、普段スマホでメッセージを打つ感覚で情報を瞬時に入力できます。従業員が、紙を持って現場から管理者のもとへ提出したり、管理者が複数の現場を回って記録を確認しに行く手間も省けます。

 

 

2.紙の帳票の確認や承認、転記作業の簡略化や時間削減

iPadやタブレットを導入すれば、帳票への記入だけでなく、確認・承認・転記作業などの業務も簡略化できます。これによって作業効率が上がり、大幅な時間削減に繋げられます。またツールによってはオフラインでの作業も可能なので、作業場にネット環境が整っていない場合でも記録や確認が可能です。

 

作業時間が削減されれば、他の業務に時間を回したり、社員の残業時間を軽減したりするなど、多くの副次的な効果が生まれます。作業者も楽になり、工場長や管理者としてもコストをカットできるので、両者にとってメリットがあります。

 

3.高水準での品質管理業務

品質管理業務に関連するもので、製造工程の温度や圧力などの基準値がある記録もデジタル化が可能です。温度や圧力は、商品の品質に大きく影響を与える項目であり、規格や認証の審査・監査や取り引き先からも細かく確認されます。指定期間の記録の提出を求められることもあります。

 

例えば、製造工程での温度・圧力といった基準値を設定する項目の記録をデジタル化したとします。紙の帳票の場合、監査時や取り引き先から提出が求められた際、指定の製品・期間のものを探し出すのに工数がかかりますが、デジタル化しておくことで必要な記録を瞬時に提出できます。さらには、蓄積したデータからカイゼン活動にも繋げられるので、品質を維持するだけでなく、今まで以上に高品質の製品を作り出すことも可能です。

 

記録のデジタル化はもちろんですが、画像や動画を用いたマニュアルを作成すれば、不良品の共通項を洗い出せたり、作業方法の見直しができたりと歩留まり率の解消にも繋がります。

 

4.製造で使用する設備の管理や保守

iPad・タブレットを用いれば、画像や動画で工場内の設備点検が実施できます。状態を見て、メンテナンススケジュールを組んだり、故障を予測して早期に部品交換を行ったりなどの設備保守が可能になります。

 

設備の点検・修理などの際には、過去のデータを直ぐに閲覧できるので、必要な対応がわかりやすくなります。

 

5.リアルタイムでの在庫管理

オフラインではミスが起きやすい在庫管理も、iPad・タブレットを活用すればスムーズに実施できます。資材や部品の数量・置き場所をリアルタイムで更新でき、入荷・出荷状況を社員間で共有できるのも、iPadやタブレットを使用する利点の1つです。

 

棚卸業務も効率よく進められるため、人為的ミスの削減も可能です。iPad・タブレットを活用して在庫管理を行うことで、在庫切れや過剰在庫の防止に繋がります。仕入れ面の数値を適切化でき、これまで以上の効率化やコストカットを期待できます。

 

6.精緻な生産スケジュールの策定と管理

属人的・感覚的に行っていることも多い、生産スケジュールの策定・管理も、iPad・タブレットを活用すればより精緻化できます。工場内の各セクションの生産状況をリアルタイムでモニタリングできるため、ボトルネックの特定も容易になります。

 

これによって、生産ライン全体の効率化に繋がり、より正確な生産スケジュールを策定できます。工場長や管理者の負担を軽減できるうえ、数値的根拠に基づいたスケジュール調整マニュアル等があれば、他の人物が生産スケジュールの策定・管理を行えます。

 

7.従業員への教育

iPad・タブレットは、従業員への教育にも活用できます。属人的な教育ではどうしても内容・質にバラつきが出てしまいがちですが、電子マニュアル化し、誰もが同じものを見るようにすれば、教育差による品質が低下することを防止できます。

 

資料の更新が即座にできるため、最新の情報を従業員に提供でき、古い情報による誤解や混乱を防げます。また、画像や動画なら文章だけでは伝えにくい複雑な作業手順や微妙な技術的な違いなども正確に伝えられます。

 

さらに動画は一度作れば、更新の手間はありますが、教育にかかる負担やコストも大幅に軽減できます。技術力がなかったり、言語的に意思疎通が取りにくかったりする際にも、資格情報であれば、理解を深める手助けとなります。

製造業でiPadやタブレットを活用して、業務効率化や品質改善に繋がった事例

ここからは、iPad・タブレットを活用して業務効率化や品質改善に繋がった事例を紹介します。紹介する各企業は、チェックリストやマニュアル、帳票などを電子化して業務効率化や品質改善に繋げています。

 

各企業の事例を参考にして、自社でiPad・タブレットを導入するイメージをしてみてください。

【食品製造業】品質チェックの記録を電子化し、品質管理の精度向上

誰もが知るコンビニエンスストアの最大手、株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、国内に21,000店舗以上を展開しています。売りの1つとして、弁当・惣菜・調理パンといったオリジナルフレッシュフードあります。

 

オリジナルフレッシュフードの製造を担当するデイリーメーカーでは、iPadやタブレットでの品質管理業務を実施しています。

 

品質管理業務を電子化した背景には、人材不足・人材の多様化・品質に対する消費者からの期待の高まりなどから、人の手作業に依存した品質管理に限界を感じたというものがあります。

 

そのような課題から、品質チェックの記録を電子化し、安心・安全の取り組みを強化しました。中でも、チェック項目の漏れがあった際に通知が表示されるようにし、問題がある商品が店舗に陳列されるのを防ぐような対策をとっています。

 

また、品質チェックの記録を電子化したことで、管理者や記録者が広い工場を歩き回る必要がなくなり、作業効率が高まっています。

 

さらに、多言語対応のツールを用いることで、外国人従業員がマニュアルやチェック項目を母国語で確認できるようになり、両道環境の改善にも繋がっています。従業員の多国籍化が進む製造業において、言語コミュニケーションの改善は、品質管理や業務効率の向上に直結する要素です。品質チェック記録の電子化の詳細は、以下の資料をご覧ください。

 

【食品製造業】40種類以上のチェックリストをデジタル化し、業務負担軽減

日本を代表する食肉加工メーカーの日本ハムグループにおいて、ハム・ソーセージの製造・販売を担う日本ハム北海道ファクトリー株式会社の事例です。同社の青森生ハム工場は、製造記録のチェックリストをデジタル化し、大幅な業務負担の軽減に成功しました。

 

以前までは、製造課や品質保証課などの5部署で113種の紙のチェックシート(1日に約310枚/1日・75,000枚/年)を使用していました。iPadとタブレットで管理できるツールを導入後、40種類以上のチェックリストをデジタル化し、紙の使用量削減をしました。

 

デジタル化によって得た成果は、紙の使用量を削減できたことだけではありません。従来の紙のチェックリストでは、雨風によって紙が濡れる・破ける・紛失するなどの問題がありました。また、高所作業の際などの紙への記入は誤記してしまう要因にもなっていましたが、デジタル化によって、これらの問題は解消されました。

 

さらに、基準値外の入力にはアラート表示や、逸脱時には管理者にメールで通知する機能を活用して、管理者・作業者共にヒューマンエラーの抑制に繋げています。また、誤記や見落としを懸念する精神的負担も、大幅に軽減されました。

 

同工場は、今後もデジタル化を進めることで、情報の一元化を最終目標として掲げ、トレーサビリティを確保できる管理体制を整え、さらなる品質向上を目指しています。詳しくは以下の資料をご覧ください。

 

【機械製造業】写真があることで点検や作業方法が分かるので業務標準化に繋がる

めっき加工事業を展開し、世界的な自動車メーカーやデジタルデバイスメーカー等、さまざまな分野で製品を供給している株式会社大洋工作所では、iPadとタブレットによる帳票のデジタル化を実現し、顧客・供給先に対する品質管理対応の向上に成功しました。

 

海外企業への製品供給が多い同社は、供給先から高水準かつ大量のデータ提出を求められます。紙の帳票では倉庫に保管された帳票群から必要な記録を探し出すだけで、多大な労力を費やしていました。また、その帳票の保管場所として外部の倉庫を契約しており、コストがかかることも大きな課題でした。

 

帳票をデジタル化した現在は、先方から指定されたデータをすぐに提示でき、顧客や取引先からの信頼が高まっていることを実感できるまでに至っています。

 

ツールの導入によって実現できたのは、帳票のペーパーレス化だけではありません。例えば、帳票やマニュアルに画像を組み込むことで、従業員ごとの作業のバラつきを抑え、誰もが同じ作業ができる「業務標準化」にも繋がりました。

 

今後、全工場の帳票のデータ化、さらには品質管理の高度化を目指し、工場全体でデジタル化への取り組みを進めています。正確な費用対効果を測定するのは難しいものの、定性的評価を含めると、導入時にかかった費用以上の効果を実感している株式会社大洋工作所の事例の詳細は以下の資料をご覧ください。

 

【機械製造業】月8,000枚以上の帳票を電子化し、紙の帳票を探す手間の削減

トヨタグループの主要会社である株式会社ジェイテクトグループの子会社に当たるジェイテクトエレクトロニクスは、iPadやタブレットの導入によって、月に8,000枚以上の紙の削減に繋がりました。

 

工作機械や自動車部品の製造販売を行うジェイテクトグループの中で、ジェイテクトエレクトロニクスは、車載用電子機器やFA制御システムなどのエレクトロニクス部門を担っています。

 

社内全体の電子化が進む中で、生産部門では約半年を費やして全体の70%の帳票の電子化に成功しました。さらには、監査時や取引先からの要求で、帳票を提出する際も、紙のときには検索やとりまとめに時間が掛かっていましたが、その対応時間も減り、付帯業務の削減に繋がっています。

 

各業界で人出不足が叫ばれる昨今、同社は今後全ラインへのツール導入を目指しています。生産ラインを自動化し、生産年齢人口が減少し続けている現代に対応することも目的の1つに挙げています。詳しくは以下の資料をご覧ください。

 

製造業でiPadやタブレットを自社でも活用しよう

さまざまな業界で人手不足が進む昨今、製造業にとっても1日でも早い対策が必要です。iPad・タブレットの導入によって作業を大幅に削減でき、時代に合った工場の運営に繋げられます。

 

マニュアルや帳票の電子化、品質管理の高度化、設備管理の効率化が実現します。さらに、リアルタイムでの在庫管理や精緻な生産スケジュールの策定も可能です。

 

特に、帳票のデジタル化による確認・承認作業の軽減は、多くの企業にとって大きなメリットとなるでしょう。まずは取り入れやすい部分から段階的に電子化を進めることをおすすめします。

 

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