GMPを学ぶときに、知っておきたいワードが「GMP省令」です。ただ、難しい言葉が多くて分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、GMP省令についてわかりやすく紹介し、今後の改正も方向性についても解説します。
GMPとは、医薬品や食品などに適用される製造管理や品質管理の規則です。そして、GMP省令はそのGMPについての省令のことをいいます。GMP省令で定められている基準や対象者などについて確認しておきましょう。
GMP省令とは、厚生労働省令である「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年12月24日厚生労働省令第179号)の通称です。この省令では、医薬品や医薬部外品の製造所における製造管理や品質管理の基準を定めています。
GMP省令は、製品の製造管理と品質管理を定めることが主な役割です。製造業をする上では重要な製品の安全性を確保し、消費者が安心して製品を使用するために、製造所が行うべきことを定めています。
つまり、GMP省令は、誰がいつ作業しても、必ず同じ品質で、高品質の製品を作るために行うべきことを定めているのです。
GMP省令は製造業者だけでなく、製造販売業者も対象です。GMP省令は人による間違いを最小限にし、医薬品の品質低下を防ぎ、高い品質を保つことを大切にしています。
そのため、製造業者と製造販売業者がそれぞれに基準をもって製品を取り扱うことで、高品質な製品を高品質なままで消費者に届けることができる仕組みになっているのです。
▶︎医薬品や食品製造に重要なGMPとは?三原則とあわせて解説
GMP省令とは「GMP(Good Manufacturing Practice)」すなわち「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」について厚生労働省が定めている、医薬品等を作る上で遵守しなければならない省令です。
GMP省令では「基準書」を作ることが定められています。この基準書はGMP省令を理解する上で重要な部分となるため、基準書の種類とその内容について詳しく解説していきます。
GMP省令では「基準書」という書類を作ることが定められています。基準書は3つあり、「製造管理」「品質管理」「衛生管理」についての書類が必要です。3つの基準は製品を製造、販売する上で管理することが非常に重要なため、それぞれのどのようなルールが記載されているのかを確認しておきましょう。
製造管理基準書では、製品を製造する工程での作業についての基準を定めています。高品質の製品を高品質なままで作り続けるための基準なので、製造部門では重要な基準書といえるでしょう。製造管理基準書の通りに作っていることで、正しく製造しているという証明にもなるのです。具体的に定められている内容についても紹介します。
【内容の一例】
品質管理基準書では、製造した医薬品をテストしたり、検査したりする際の基準を定めています。医薬品製造では重要な薬事法の目的である「品質・有効性・安全性」を遵守して製造をするために、製造所の品質管理は非常に重要です。品質管理基準書の基準を守ることで、品質が保たれていることの証明となります。具体的に定められている内容については、次の通りです。
【内容の一例】
衛生管理基準書では、製造者が製品を取り扱う上で、製品を清潔に保ち品質が損なわれないようにする衛生管理の基準を定めています。衛生管理は設備の対策も重要ですが、作業員が行う作業の対策も必須です。衛生管理基準書の基準を守ることで、生成管理の行き届いた医薬品が製造できているという証明になります。具体的に定められている内容については、次の通りです。
【内容の一例】
GMP省令には、3つの基準書以外にも、さまざまな手順書が必要とされています。最低限準備する必要のある手順書を確認しておきましょう。また、会社によってさらに多くの手順書を定めている場合もあります。
【手順書の例】
GMP省令改正について、2020年時点ではまだ発表がありません。現在、改正についての議論が進んでいますが、製品の品質保証へ影響のある要件が複数盛り込まれるようです。そのため、「品質保証体制の強化」という方向性で改正が行われると考えられています。
その背景には、品質保証の意味を問われるような事例が医療業界で発生したことが影響していると考えられるでしょう。そのため、製品の品質保証について具体的に定めて、役割に応じた責務を明確にするような改正が行われと予測されます。
GMP省令は厚生労働省令で、医薬品や医薬部外品についての製造管理や品質管理を定めています。GMP省令の基準を守ることが高品質の製品を作ることにつながるため、制作した基準書や手順書で取り決めたルールを守ることが重要であるといえるでしょう。