医薬品や食品製造に重要なGMPとは?三原則とあわせて解説

医薬品や食品製造の分野では、GMPの遵守が大切と聞いたことはないでしょうか。しかし、実際にGMPを調べようとしても内容が複雑で難しく感じた方も多いはずです。

 

そこで、この記事ではGMPとは一体どういうものなのか詳しく解説します。またGMPのために重要な三原則もあわせて解説するため、自社で何をすべきなのかその課題が見えてくるはずです。

 

アメリカで誕生したGMPとは

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GMPとはGood Manufacturing Practiceの頭文字を取ったもので、「適正製造規範」を意味します。1960年代からアメリカで採り入れられた製造時の管理・遵守事項に関する規則です。

 

GMPは安全でよりよい品質、健全性を有する製品を製造することを目的にしたもので、1969年に国連総会で採用勧告、日本では1980年にGMP省令として公布されています。ちなみに、さらに重要な危害をコントロールしようという政策から世界各国で導入の機運が高まっているのがHACCP(ハサップ)です。

対象は製薬・医薬品や食品など

GMPが具体的にどのようなものが対象になるか気になる方も多いはずなので、ここでは各対象品についてみていきましょう。発祥の地、アメリカではGMPが法的強制力をもつ連邦規則として規定され、医薬品・食品等の製造に適用されます。

 

日本は医薬品については薬事法の中でGMPの要素を取り込んでおり、基準に適合していなければ医薬品を製造することができません。しかし、食品についてはまだ法律に基づいた規定はされていない所がアメリカと大きく異なる点です。

医療機器の場合

GMPの考え方は医薬品に限らず医療機器の分野においても重要です。しかし原材料の入手ルートがそれぞれ異なるため、医療機器の場合ややアプローチが異なるということを頭に入れておきましょう。

 

なお、医療機器製造販売業の許可を受けるためには、薬事法第12条の2第1号「品質管理の基準(Good Quality Practice:GQP)」に適合することが必要です。この際、製造所の適合性調査により管理状況を確認されます。

化粧品GMPとは

国内における化粧品GMPは医薬品の場合と異なり、薬事法で定められているものではなく、国内業界団体である日本化粧品工合連合会が国際規格ISO22716を自主基準として採用したものです。しかし、一定の品質保証が担保できる点や国際規格適合により海外輸出がスムーズに進むメリットから、多くの製造業者で採用されており重要な基準といえるでしょう。

 

ちなみに、化粧品以外に化粧品GMPが適用される製品には医薬部外品(新指定・新範囲医薬部外品を除く)・口中清涼剤・殺虫剤(忌避剤を除く)・殺そ剤・衛生用綿類などがあります。

GMP基準に関するPIC/Sという組織もある

PIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)はGMPの分野で共通の基準を設け、世界の査察基準を整合させることを目的とした国際的な団体です。なお、PIC/Sは非公式な協力団体であり法的拘束力はありません。

 

しかし、近年多くの国が加盟しており、PIC/Sの準拠を輸入要件にする国も増えていることから重要性は高いといえるでしょう。

 

GMP三原則とは

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GMPを理解するためにはGMP三原則も知っておかなくてはなりません。GMP三原則とは「人為的な誤りを最小限にすること」「汚染及び品質低下を防止すること」「高い品質を保証するシステムを設計すること」の3つの要件を指し、誰が作業しても、いつ作業しても、必ず同じ品質・高い品質の製品をつくるために必要なものです。

 

ここからそれぞれを遂行するためにどういったことが必要か考えていきましょう。

人為的な誤りを最小限にすること

ヒューマンエラーを減らすためには、まず従業員への教育訓練が不可欠です。また、各分野の担当や責任者を明確にしたり、重要な工程でのチェック体制を整えたりするなどの工夫も必要でしょう。

汚染及び品質低下を防止すること

こちらも、衛生管理の手順書を作成するなど、従業員への衛生教育の徹底が大前提です。また、ゴミが製品に混入しないように、設備自体を整えることも必要になります。

高い品質を保証するシステムを設計すること

限られた時間内で高い品質を目指すためにも、合理的な作業が大切です。そのため、機械や設備は製造工程の順序に従って、合理的に配置されていなくてはなりません。

 

さらに、品質部門と製造部門が一体化している場合は分離することもポイントです。

まとめ

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GMPは製品が安全で一定の品質を保たれるように定められたシステムや規則のことで、製造管理や品質管理に関する製造に欠かせないものです。2021年6月から完全実施されるHACCPの前提条件であることからも、GMPの重要性がわかるでしょう。

 

たしかに、GMPの制度は対象品によって扱いが異なることもあり理解が難しいかもしれません。しかし、GMPの制度を理解し、遵守すれば製品の品質向上や自社のイメージアップ、売上増加につながるはずです。

 

製造業に携わる方は、ぜひこの機会にGMPを理解しておいてください。

 

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