ヒヤリハット報告書の作成方法は?書き方や記入のポイントを紹介
2020.10.01
2024.07.01更新
ヒヤリハットは、事故に繋がりそうな不安全な状態に気づいた時の「ヒヤッとした」「ハッとした」という心理状況を言語化した概念ですが、主に事故の前兆を意味しています。
医療・介護や保育、建設・建築といった多くの業界で、より大きな事故を未然に防ぐために「ヒヤリハット」の事例を収集し、当事者以外にもヒヤリハットの情報を共有することで職場の安全性を高めているのです。
今回は、ヒヤリハットの内容を分析し、共有するためのツールであるヒヤリハット報告書の作成方法について解説していきましょう。
ヒヤリハット報告書とは
まずは、ヒヤリハット報告書がどのようなものか、どんな目的がある報告書なのかを紹介していきましょう。
ヒヤリハットが起こった場合の報告書
「ヒヤリハット報告書」は、ヒヤリハットの事例が発生した場合に状況や原因を広くしておき、事例を共有するための報告書です。
ヒヤリハットとは、事故には至らなかったもののヒヤリとした経験やハットした経験のことで、これらはヒヤリハットを起こした当事者だけでなく、同じ部署等で共有し、再発防止対策を立てるために活用されます。
ヒヤリハット事例を共有して事故を防ぐ
ヒヤリハット報告書は作成した本人や直属の上司だけでなく、同じ部署や施設、場合によっては同じ組織内で共有することが目的となります。
この場合、誰がヒヤリハットの事象を起こしたかということが問題ではなく、どのような状況になるとどのようなヒヤリハット事例が起こるのかを共有することで、他の人が同じようなミスを起こさないように注意喚起するのが目的です。
人である以上、ミスをするリスクは誰にでもあります。しかし、そのリスクを最小化し、事故を発生する可能性も最小化するためにヒヤリハット事例を共有することで、より大きな事故が起こらない環境作りが求められます。
ヒヤリハット報告書のテンプレート
ヒヤリハット報告書には、決められたテンプレート等があるのでしょうか。ここでは、ヒヤリハット報告書を作成する場合のテンプレートについて紹介していきましょう。
ヒヤリハット報告書の構成
ヒヤリハット報告書は、決まった書式がないため、業界や組織によって異なりますが、基本的には以下のような構成になります。
- 報告日、報告者
- 発生日、発生時間
- 発生時の状況
- ヒヤリハット事例が発生した経緯
- その場での対応
- 原因
- 再発防止策や所感
業界ごとに書式に違いはある?
ヒヤリハット報告書には決められた書式がないため、業界ごとに書式が定められているということはありません。ただし、やはり業界ごとにある程度の傾向が見られるため、代表的ないくつかの業界の組織を紹介していきましょう。
医療・看護現場の場合
- 影響レベル
- 報告日と報告者
- 発生日時と患者情報
- 発生場所
- 口頭報告
- 状態変化、患者家族への説明
- 発生の状況と直後の対応
- 今後の対応
介護現場の場合
- 報告日と報告者
- 利用者情報
- ヒヤリハットの種類
- ヒヤリハットの内容
- 対応と周囲の状況
- 原因と問題点
- 今後の対策
建設現場の場合
- 報告日と報告者
- ヒヤリハット発生時の状況
- ヒヤリハットの概要
- 今回のヒヤリハットが引き起こす事故の可能性
- 今後の対応方法
- 再発防止に向けた提案や要望
ヒヤリハット報告書の活用方法
作成したヒヤリハット報告書は、どのように活用すると良いでしょうか。ここではヒヤリハット報告書の活用方法について紹介していきましょう。
事例検討で使用する
ヒヤリハット報告書の活用方法の一つに「事例検討」が挙げられます。事例検討とは、作成したヒヤリハット報告書をもとに、報告書であげられた要因のほかに要因は考えられないか、他の改善策はないかなど、他人のヒヤリハット事例を自分の問題として考え、再発防止を検討する材料として利用することです。
このように、様々な事例を検討することでヒヤリハットになりやすい状況を理解し、大事故に発展する前に危険の目を認識し摘み取ることができるようになります。
新人教育で活用する
ヒヤリハット報告書は、新人教育の場面でも活用できます。新人の場合、そもそもどのような点がヒヤリハットのポイントになるかを理解できません。そのため、入社時の研修などでどのような点がヒヤリハットポイントなのかを教育する必要があります。
ヒヤリハットのポイントを知ることで、実際に業務に携わった場合にヒヤリハット事例の発生を抑制できるようになるでしょう。
まとめ
ヒヤリハット報告書は、ヒヤリハットの事例が発生した場合に作成する報告書です。人が働く以上、ヒヤリハットの事例を完全になくすことはできません。大切なのは、ヒヤリハットの事例が発生した場合、その状況を共有してより大きな事故の発生を防ぐことです。
ヒヤリハット報告書の書き方をマスターし、ヒヤリハットの経験が今後の再発防止や、より大きな事故の発生防止につながるよう、しっかりと活用していきましょう
記事をシェア・リンクをコピー