特定技能ビザとは?6つの要件や申請にかかる費用を紹介

 

特定技能を利用して外国人労働者の受け入れを検討している企業の方にとって、特定技能ビザを取得するための要件を知っておくことは必須です。

初めての受け入れをする場合は、自分の企業がそもそも外国人労働者を受け入れることのできる分野か、特定技能ビザにかかる費用はどのくらいか、などを確認しておきましょう。そこで今回は特定技能ビザについて、6つの要件と申請にかかる費用についてご紹介します。

特定技能ビザの6つ要件とは?

 

2019年4月よりスタートした「特定技能」という資格に関する制度があります。この制度を利用して在留資格を取得するためには、特定技能ビザが必要です。

特定技能ビザを取得するためには、6つの要件のすべてを満たす必要があります。外国人労働者側と企業側の両方が、要件に合っているかを確認しましょう。

14の特定産業分野であること

まずは受け入れる企業側が、14の特定産業分野であることが必要です。14の分野は以下の通りなので、自身の企業の属している分野が、受け入れの対象分野であるか確認しましょう。

14の特定産業分野

・介護
・ビルクリーニング
・農業
・漁業
・食料品製造業
・外食業
・素形材産業
・産業機械産業
・電気・電子情報関連産業
・建設業
・造船・船舶工業
・自動車整備業
・航空業
・宿泊業

また、自分の企業が属している分野がどの分野に当てはまるのか分からない場合も、総務省の「日本標準産業分類」の公式サイトで調べることができます。また、14の特定産業分野の管轄の行政機関は、分野ごとに厚生労働省、経済産業省、国土交通省、農林水産省の4つに分かれているのも特徴です。

技能水準が良好であること

外国人労働者の技能水準が良好であることも要件の1つ。この「技能水準が良好であること」の基準は、外国人労働者が技能実習2号を良好に修了していることをいいます。技能実習2号を良好に修了するためには、技能実習を2年10ヶ月以上修了した上で、技能検定試験3級か技能実習評価試験の実技試験に合格することが必要です。

ただし、実技試験に合格していない場合でも、実習実技者の評価書があれば、技能実習2号を良好に修了したと認められるため、「技能水準が良好であること」の基準を満たし、要件をクリアすることができます。

受け入れ機関が基準を満たしていること

受け入れ機関となる企業は、労働基準法や社会保険法を遵守しているなど一定の基準を満たしていることが要件となります。例えば、社会保険加入義務のある企業は社会保険に加入していること、納税義務遵守していることなど、企業が健全に運営できているかを確認する基本的な内容です。

また、受け入れる企業が労働者をクビにしている実態はないか、1年以内に行方不明者を出していないかなど、実態を確認する基準もあります。企業が継続的に事業を営むことができ、外国人へ賃金を支払っていける財政状況があるということも要件となっているのです。

雇用契約は日本人と同等であること

外国人労働者の雇用契約の報酬や労働条件の内容が、日本人と同等以上であることも要件です。外国人労働者の報酬は少ないというイメージを持たれやすいですが、仕事内容や報酬水準などは、すべて日本人と同等の基準であることが求められます。

この基準を満たさなければ、外国人労働者の在留資格を取得することができないため、受け入れ企業は外国人労働者を雇用できません。

 

外国人への支援基準を満たしていること

外国人労働者を受け入れる際に、外国人への支援基準を満たすことも必要です。この支援基準を満たすためには「1号特定技能外国人支援計画」を作成する必要があります。1号特定技能外国人支援計画とは、1号特定技能外国人が日本で働く上で、仕事だけでなく、日常生活や社会生活を送ることについて、どのように支援するかの計画です。

具体的な支援内容としては、生活に必要な契約の支援として住居の確保の支援、銀行口座開設の支援などがあり、外国人の入国後の情報提供に関しては、外国人が十分に理解できる言語で実施する必要があります。

このように、計画内容は多岐にわたるため、企業内だけでは対応できない場合に、代わりに対応してくれるのが「登録支援機関」です。この登録支援機関を利用することで、要件が満たされることになっています。

業種の上乗せ要件には従うこと

特定技能ビザの要件である、14の特定産業分野業種の中でも、業種ごとに上乗せの基準がある場合があります。業種によって外国人労働者の受け入れ人数に制限が設けられていて、中には特定技能独自の登録支援機関のような団体に加入する場合も。

例えば、建設業の特定技能では、「建設技能人材機構(JAC)」への加入が必要です。JAC加入の費用として企業側は「賛助会費」の支払いが年間24万円必要となるなどの条件があります。業種ごとに上乗せ要件が必要なケースもあるので、確認しておきましょう。

特定技能ビザ1号と2号の違いとは?

 

特定技能は2種類で、特定技能1号と特定技能2号があります。2つの資格には、在留するための特定技能ビザが必要です。1号と2号は在留期間や対象の分野などが異なります。特定技能は、2019年4月にスタートしたばかりの在留資格。今後、変更される可能性もありますが、現時点での特定技能の違いを紹介します。

技能実習生以外は1号からスタートする

外国人労働者として日本で働く場合には、特定技能1号の取得からスタート。ただし、すでに技能実習生となっている場合は、特定技能2号の取得から挑戦することも可能です。特定技能ビザ1号の在留期間は通算5年のため、他の在留資格に変更しない限り日本に住み続けることはできず、家族の帯同もできません。

2号は資格の更新回数制限がない

特定技能ビザ2号は、2021年から試験がはじまります。対象となるのは建設業と造船・舶用工業の2分野だけです。資格の要件を満たせば、更新回数の制限がありません。そのため、現時点では日本に永住することも可能となります。

また2号の場合は、家族も帯同できるので、一緒に日本で暮らせるのも特徴です。2号の対象となる建設業と造船・舶用工業の2分野は専門性が高い分野なので、高い技術を持つ限られた人材のみが取得できる資格といえるでしょう。

特定技能ビザ申請の費用は?

 

特定技能ビザの申請の費用というと、入管審査にかかる費用のように見えますが、それ以外にも送り出し機関に支払う費用や渡航費用など、まとまった費用が必要です。特定技能ビザ申請の費用がどのくらいかかるのかを、確認しておきましょう。

送出機関に支払う費用

外国人労働者を海外から送り出す機関である「海外現地送出機関」に対して、送り出し費、人材紹介料などの項目で10万~60万円ほどの支払いが必要です。

送出機関を通じて外国人労働者を雇用することは、各国と日本の協力覚書(MOC)で決められているため、必ず送出機関を利用する必要があります。送り出し費、人材紹介料などは国ごとにガイドラインで上限のみ設定されているので、交渉によって金額が異なる仕組みです。

入管申請や支援にかかる費用

外国人の入館申請にかかる費用は受け入れ企業の負担となります。入館申請は委託する企業が多く、約15万~25万円程度です。支援の費用とは、先述の「1号特定技能外国人支援計画」にかかる費用、もしくは「登録支援機関」に支払う費用のことをいいます。

1号特定技能外国人支援計画にかかる費用としては、支援者は外国人労働者に対して年間で約180時間程度の時間を割かなくてはいけないため、その時間分の給与が費用といえるでしょう。支援責任者は企業の管理職クラスでないと支援計画の認可が降りないというケースもあるようなので、管理職の約180時間分の給与が発生します。その点、登録支援機関を利用する場合は、支払う費用は月2万〜3万が相場なので月々の負担が軽くて済むでしょう。

給与や渡航費などの費用

外国人労働者の給与については、先述の通り日本人と同等以上の給与が発生します。日本人の正社員と同等以上となるため、技能実習生よりも給与が高くなる可能性もあるのです。また、外国人が日本に来るための渡航費も原則として企業で負担します。最大で10万円程度の費用が発生するため、その費用も考慮しておきましょう。

まとめ

 

外国人労働者の受け入れのために、特定技能を検討することは有効であるといえるでしょう。特定技能の資格を利用した受け入れでは、特定技能ビザの要件についても確認しておくことが大切です。特定技能の正しい知識をもって、外国人労働者の受け入れの検討をしてみてください。

 

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