ISO45001とはどんな規格?類似の規格も合わせて簡単に紹介
2020.11.01
2024.07.01更新
「ISO45001認証」と紹介文などに書いている企業があります。このようにISO45001の認証を受けることは、企業にとってアピールポイントにできるものです。
それでは、ISO45001とはどんな規定なのでしょうか?認証されることによるメリットや、ISO45001認証に向けてどのような取り組みをするのかなどを紹介します。
ISO45001とはどんな規格か
まずは「ISOとはなにか」、「ISO45001とはどんなことに関する規格か」を確認していきましょう。
そもそもISOとは
ISOとはそもそも、国際的に信用されている標準規格を制定する非政府機関。その本部はスイス・ジュネーブにあります。正式名称は「International Organization for Standardization」です。
ISOでは今までにもいろいろな国際標準規格を策定してきました。代表的なものは品質管理に関するマネジメント規格のISO9001、環境保全に関するマネジメント規格のISO14001、情報セキュリティに関するマネジメント規格のISO27001などがあります。これらを取得することで対外的な信頼性が増し、取引に有利に働くため、認証企業であることを看板などに書く企業も多く見かけるでしょう。
ISO45001は労働安全衛生に対する管理体制の規格
いろいろな国際規格がある中で、ISO45001は2018年に策定された労働安全衛生に対する管理体制の規格。労働の安全・衛生のマネジメントシステムの適切な運用を第三者機関が保証する規格のため、認証を受ければ「労働環境改善の意識が高い企業である」と外部にアピールできるものです。
同じくISOで策定された規格と使われている用語やその定義が同じため、これらのISO規定認証の取り組みをしている企業はISO45001についても取り入れやすくなっています。
認証を取得した際に得られる効果
ISO45001の認証を取得できた場合、どのようなメリットがあるのかも確認していきましょう。
労働安全衛生に必要なコストを削減できる
安全で衛生的な労働環境のマネジメントのためにはコストがかかります。どのように改善していけばいいのか手探り状態での対応では、なかなか改善できず、余計な費用もかさんでしまうものです。ISO45001の認証を目指し、もともと効率化されたマネジメントシステムを導入することで、安全で衛生的な労働環境が効果的に構築できます。
労働安全衛生に対する管理体制がしっかりする
多くの企業で使われている統一化されたマネジメントシステムを取り入れることで、いままで分散的に対応していた管理体制の効率化が可能です。効果的な管理体制ができることで、その企業ごとの問題点や課題も見つけやすくなり、その結果,
効率的な対応や防止策の実施ができるようになります。
顧客などステークホルダーからさらに信頼される
ISO45001の認証ができると、「国際的な規格に認証された、労働安全衛生環境の改善を持続的に取り組んでいく企業である」と確認でき、従業員の意識が高められます。第三者機関によって証明されることで、顧客や取引先からもさらに信頼されるようになるでしょう。
また従業員が安心して働く環境が整えられているということは、人材採用にもプラスに働きます。「ここは労働環境がいいです」と自社でアピールしても、信じてもらいにくいもの。国際的なお墨付きがあることで、優秀な人材に選んでもらいやすくなるのです。
そのほかの労働環境に関する規格
労働環境のマネジメントシステムに関する規格は、ISO45001のほかにもあります。それぞれ、どのような規格なのか見ていきましょう。
OHSAS18001
OHSAS18001も労働安全衛生のマネジメントシステムの規格です。ISO45001よりも前にイギリス中心の国際的な共同事業体が策定した規格で、1999年に作られました。
国際的に使われていたこの規格は、ISO45001の前身のようなものです。ISO45001はOHSAS18001などで定められていたものを参考に、それら従来の規格や法令などと矛盾がなく労働者の安全を守れるようにと作られました。なおOHSAS18001の効力は2021年3月で失効し、その後はISO45001に置き換わることになっています。
JISQ45001
JISQ45001は、日本産業規格(JIS)が認証している規格です。JISQ45001はISO45001を翻訳したもののため、国際的にもISO45001と同等の規格であると認められました。したがって、JISQ45001で認証を取得すれば、ISO45001の認証を取得したこととなります。
ホワイトマーク・安全衛生優良企業公表制度
労働環境に関係するものには、ホワイトマーク(安全衛生優良企業公表制度)という制度もあります。ホワイトマークは一定基準以上の企業や団体に対して厚生労働省が認定する制度です。認定を受けると厚生労働省のサイトに企業名が公表されるため、ホワイト企業の目印にもなると言われています。認定された場合にはホワイトマークを名刺などにも使用可能です。
認証取得に向けた取り組みのポイント
ISO45001認証取得を目指した場合、それに向けてどのような取り組みをしていくのかを紹介します。
企業のトップによる取り組み
ISO45001の要求事項5.1では「リーダーシップ及びコミットメント」が定められ、組織におけるリーダー格の人が、労働安全衛生マネジメントへの取り組みに積極的に関わっていくことが求められます。企業が一丸となり取り組むために、経営者・事業部長などが方針を打ち出し、マネジメントにおける責任や各種支援なども企業のリーダーが主導して実施するようことが必要です。
働く人に対する配慮と自発的な行動
企業のトップだけではなく、働く人自体が労働環境改善に向けた自発的な行動をするよう求められています。
また働く人への配慮も重要です。なお、ここでいう「働く人」とは単にその企業の従業員のみにかかる言葉ではありません。従業員はもちろん、事業者やボランティア、その企業のインターンシップに参加した人など、企業に関係するさまざまな人々への配慮が求められています。
PDCAサイクル
労働安全衛生マネジメントシステムを成功させるうえで重要なポイントは、PDCAサイクルです。PDCAサイクルとは、継続的に改善していくための流れのこと。Plan、Do、Check、Action、それぞれの頭文字からきています。
まずは「Plan」計画を立てて、「Do」その計画を実行し、「Check」計画をもとにした企業活動の監視・測定をした結果を報告し、「Action」その結果を見直して何を変更すれば改善するのかを考える、という流れがPDCAサイクルです。そしてまた「Plan」に戻って……という、持続的な改善の流れを作ることがISO45001では重要視されています。それは、この規格に合わせてPDCAサイクルをどんどん循環させることで、それぞれの企業で「現状で満足せず、さらにいい労働環境へ改善を」という意識にできるためです。
まとめ
労働安全衛生に関する環境の規格であるISO45001について、規格の内容や認証企業になるとどのようなメリットがあるか、また類似した規格などを紹介しました。
国際的な第三者機関からの認定を受けることで、その企業の信頼性が高まります。また労働環境改善に向けて、効果的なマネジメントができるようになるのも大きなメリットです。PDCAサイクルの循環をしていき、ISO45001認証取得を目指しましょう。
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