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タートル図を事例で解説!作成の目的や必要6項目の具体例とは?

作成者: カミナシ編集部|2020.09.30

 


製造業においてはタートル図を作成することで、製造のプロセスアプローチが整い、プロセスを可視化することができます。プロセスアプローチとは、製品やサービスを提供するための各プロセスをシステムとして運用しようとする概念のことです。これによってプロセスを可視化することで、問題を特定することができるようになります。

 

このとき、タートル図に必要な6項目を正しく作成しておくことで、より良い製品を顧客へ継続的に届けることができるというメリットがあるのです。そこで今回は、タートル図について具体的に解説します。

タートル図を作る目的とは?

 

 

 

製造業においてタートル図を作る目的は、プロセスアプローチを整理し、プロセスを可視化することで、問題点を明確にすることです。製品を作る上でとても重要な工程に用いられますので、確認しておきましょう。

プロセスアプローチを整える

タートル図は、プロセスアプローチを整えるために使用されます。具体的には、インプット、アウトプットなどの6項目の要素を用いた図のことです。

 

プロセスアプローチとは、製品やサービスを提供するための各プロセスをシステムとして運用しようとする概念のことで、プロセスを運営管理しシステムとして適用することで不具合に対応しやすくさせる意義があります。

 

製品ができるまでには、さまざまなプロセスが必要です。その一つひとつのプロセスアプローチを整えることで、どの部分に不具合があるのかが見つかりやすくなります。

 

反対に、プロセスアプローチが整理されていない状態だと、万が一不具合が見つかった際に問題の原因が特定できません。また、特定できてもその部分を変更することで他の部分への影響が考えられるなど、不安要素が出てきてしまいます。

プロセスを可視化する

タートル図を作成することは、プロセスの可視化にも有効です。そのプロセスは、誰が関わるか、どう実現するかなどを具体的にタートル図にします。タートル図上で、漏れのないように定めておくことでプロセスの工程が定まるのです。また、無駄やリスクを見つけやすくなり、早めの対処ができるというメリットもあります。

タートル図に必要な6項目の具体例とは?

 

 

 

タートル図の作成には、6項目の要素が必要です。まずは1つのプロセスが前後のプロセスとつながって、製品ができる工程を図にしていきます。

 

プロセスとプロセスの間に漏れがないように作成するのが重なので、タートル図を使いこなして製造のプロセスを定めておきましょう。ここではタートル図の6項目を具体例と共にご紹介します。

インプット

インプットでは、そのプロセスでどのような情報を受け取るかを考えます。そのプロセスの前にもプロセスが存在しているため、前段階のプロセスのアウトプットと「顧客要求事項」がインプットの情報です。

 

例えば、お菓子を包装するというプロセスの場合に、前段階からのアウトプットは包装前のお菓子だと考えられます。また顧客要求事項とは、製品に対して顧客が要求する事項です。この場合は、お菓子が不良品でないか、値段が適性かなどの要求のことをいいます。

 

インプットに記載する要素の例

  • 製品の原材料
  • 製品の生産予定数
  • 顧客要求事項

アウトプット

アウトプットは、「どのような成果を出すか」の要素です。例えば、お菓子を包装するというプロセスの場合では、包装が終わったお菓子がアウトプットの成果物と言えます。先述のとおり、このアウトプットは次のプロセスのインプットとしてつながる重要な要素です。

 

アウトプットに記載する要素の例

  • 完成した製品
  • 製品情報のデータ
  • 製品の品質データ

人とは、製造のプロセスに誰が関わるかということを表す要素です。人の面での、製造要因、供給者、関係者を組織図にしておくというイメージでしょう。誰がどのような仕事をするか、責任者は誰か、そのプロセスに関わる人は何人かなどを確定させて図に盛り込むのがポイントです。

 

具体的には、誰がライン作業をするか、包装の責任者は誰か、包装に関わる人は何人いるのかをタートル図を用いて、明確にしておきます。

 

人に記載する要素の例

  • 誰がどのような仕事をするか
  • 責任者は誰か
  • そのプロセスに関わる人は何人か

装置

装置とは、プロセスで使う装置や道具のことをいいます。製品の製造はもちろんですが、点検で使用する装置や道具も対象です。

 

具体的には、お菓子の包装で使用する製品や道具、検品するときに使用する製品や道具のことまでをいいます。何を用いて作業をするのか、詳細に定めておくことが必要です。また、作業に関係する定期点検や、電気や水などのインフラについても、この部分で明確にしておきます。

 

装置に記載する要素の例

  • 装置の名称、機種など
  • 定期点検、メンテナンス
  • 電気、水道などのインフラ設備

方法

方法とは、どう実現するかという手段や技術を表す要素です。実際に製品を作る作業手順や、検品時の検査基準、作業する装置の設定値など作業条件などを定めます。

 

具体的には、お菓子の包装の作業にはどのような手順があるか、検品方法はどうするか、どのような条件のもとで作業をするかなどを深堀りしてタートル図を作成するのです。

 

方法に記載する要素の例

  • 作業手順書
  • 検査基準書
  • 作業条件表

測定

測定とは、そのプロセスの成果が何をもって判定されるのかという指標のことです。会社の目的を達成できるか、作業内容は間違っていないかというチェックをします。

 

プロセスの目標や指標、検証などをタートル図で明確にしておくイメージです。具体的には、お菓子の包装をどう達成するかという基準を定めます。

 

測定に記載する要素の例

  • 製品の生産数の実績
  • 人や装置の稼働率
  • 製品の不良品率

ISO9001のタートル図の作成例とは?

 

 

 

ISO9001は、製品やサービスの品質管理マネジメントシステムの規格で、製品の品質を保証し顧客満足につなげ、継続に製造のフローや製品クオリティの改善を行うことが求められます。

 

この企画により継続的な評価をすることで、最終的に顧客満足につなげることが目的です。つまり、より良い製品やサービスを顧客に提供する為の仕組みをつくり、それを評価するためのガイドラインといえるでしょう。

 

このISO9001を取得すれば製品の品質が高いことを証明できますが、取得を目指すためには、ISO9001のプロセスについて知っておく必要があります。ISO9001には、最低でもプロセスが3つ必要です。

 

具体的には「経営者の責任のプロセス」「物やサービスを作り出すプロセス」「測定、分析、改善のプロセス」なので、まずはそれぞれのプロセスについて解説します。

 

▶︎ISO9001とは?認証取得までの流れを簡単にわかりやすく解説

経営者の責任のプロセス

経営者の責任のプロセスとは、経営者自身が責任をもって行うべきことです。ここでいう経営者というのは「社長、工場長」などだけでなく、文書管理、総務人事、内部監査などが含まれます。

 

ISO9001を取得するには、まずそれぞれの責任のプロセスを定めておくことが重要です。具体的には、経営者であれば、品質マネジメントシステムの構築と実行、そしてその継続的改善の実施についてのプロセスを定めておくことなどを指します。

物やサービスを作り出すプロセス

製品実現のプロセスには、物やサービスを作り出すプロセス、営業プロセス、設計開発、製品仕入れ外注業者に関わる購買プロセス、生産プロセス、提供プロセス、測定機器の校正や管理などへの要求があります。

 

1つずつが独立している部門が多いため、タートル図を用いるのが効果的といえるでしょう。例えば、物やサービスを作り出すプロセスでは商品実現のプロセス、営業プロセスでは顧客関連のプロセスのタートル図を作成します。

測定、分析、改善のプロセス

測定、分析、改善のプロセスには、プロセスが規格や顧客、自社のルールに適合しているかの測定、監視を行った上で、継続して改善活動するための要求があります。

 

例えば、測定、分析及び改善の要求、不適合製品の管理の要求など。会社がデータの収集や、内部監査、不適合品の処理を行い、改善していくことが定められているのです。

まとめ

 

 

タートル図を作成することで、作業の目的やどのような責任があるのかが明確になります。自分の作業の棚卸として無駄やリスクを予防することにもつながるので、業務の見直しとしても役立つはずです。タートル図を利用してプロセスの管理を進めていきましょう。