【管理者必見】日報を電子化する理由とは?メリットと導入時の注意点、事例を紹介

日々の業務に関する日報は、管理職者が各メンバーの業務状況を把握するために不可欠な記録です。特に製造業の現場においては、業務の進捗状況の確認のみならず、不良品が発生した際の原因の特定や、各工程の改善に関しても大いに役だちます。

しかし、手書き日報であると、大量の紙の保管に困ったり、書き手によっては内容の把握が難しかったり、転記作業に膨大な時間が掛かったりするなどの問題も多くあります。

現場に携わる人々から寄せられる声である業務日報は、作業の改善につながるヒントが数多く含まれていますが、活用するのが難しいのが正直なところです。

そこでこの記事では、日報に関する問題点を振り返り、日報の電子化が、そうした問題に対してどのようにいい影響を与えるか、電子化の際の注意点について詳しく解説します。

 

管理職が悩む「手書き日報」が原因で起こる困りごと

まずは、手書き日報に関して、管理者が日々直面している主な困りごとをいくつか挙げておきましょう。管理職者の方々ならば「あるある」と思ってしまうであろう項目ばかりです。

 

  1. 解読不能の内容や直接聞かなければ正確な情報を把握できない
  2. 記入漏れや記載ミスがあったときに気づきにくい
  3. 日報でわかった報告を全体共有するために、朝会や夕会まで待たなければいけない
  4. 全員分の日報の回収や転記、承認に膨大な時間がかかる
  5. 読める・書ける場所が限られている

1.解読不能の内容や直接聞かなければ正確な情報を把握できない

日報は、報告者によって、記載内容が読み取りにくいものや、意味が伝わりにくいものなどがあり、都度本人に確認しなければいけなく、困っている管理者の方もいると思います。

 

都度聞きに行かなければ管理者も、問い合わせを受ける現場担当者も時間が大きくロスする上に、お互いにストレスがたまっていくという事態が発生します。

2.記入漏れや記載ミスがあったときに気づきにくい

日報は毎日書くもので、且つ同じような報告が大量に提出されるため、管理者の方は、記入漏れや記載ミスがあったときに気づきにくいと思います。

 

もし提出された日報に記入漏れや記載ミスがあったとしても、気づかずにそのままにしてしまった場合、重大な作業ミスが発生したり、異物混入などの事態が発生してしまう可能性があります。

3.日報でわかった報告を全体共有するために、朝会や夕会まで待たなければいけない

日報は業務の振り返りの他に、進捗の共有や問題点の早期発見・対応、トレーサビリティの確保などの目的があります。記録を取るのが目的ではなく、業務改善や問題発生時の対応に活かすのが目的です。

 

そのため、日報で分かった効率化に繋がることや不具合、注意しなければいけないことは、記入した担当者以外にもなるべく早く共有する必要があります。

 

しかし、紙での記録や提出、確認、転記などの工程を経ることで時間が空いてしまったり、もし情報をとりまとめて共有できる状態にしていたとしても、出勤時間が異なる社員には、朝会や夜会まで待たなければいけなくなります。

 

従って、何か不具合が生じた際に、全従業員に共有化されるまでに2~3日、場合によっては1週間もかかってしまいます。不具合の対応が遅れてしまえば、取引先に迷惑をかけるだけでなく、企業そのものの信用を大きく損なう結果を招きかねません。

4.全員分の日報の回収や転記、承認に膨大な時間がかかる

毎日、現場の従業員に書いてもらった日報を回収し、そのすべてに目を通し、転記するのも、管理者にとってはかなりの業務負担になります。

 

さらに読んだ日報の中から、不具合につながる危険性や、業務改善につながるような芽を探し出し、記録するだけで、膨大な時間と手間を要します。

 

その結果、品質管理や人材管理、工程改善の推進など、管理職者が本来なすべき仕事に手がまわらない事態につながりかねません。日報から業務上の問題点を把握するのは重要なことですが、そのために、実際の改善に費やす時間が無くなってしまうのでは本末転倒です。

5.読める・書ける場所が限られている

食品製造や機械製造などの工場では、水や油など紙への記入に適さない現場が多くあります。そのため、別の場所で業務日報を書く必要があります。正確な内容が思い出せず、記憶で書いてしまうこともあるかと思います。

 

正確な情報が記載されていない可能性があると、管理者の方は不安な気持ちになるのではないでしょうか。

日報の電子化によって、管理職が受けられるメリット

ここからは日報を電子化するメリットを紹介します。代表的なものを5つに絞って挙げてみました。

 

  1. 手書きでないため、文字の汚さに関係なく情報が把握できる
  2. 記入漏れや記載ミスは、システムで未然に防げる
  3. 良い/悪い報告がリアルタイムに分かるので、すぐに対応・周知ができる
  4. 回収や転記にかかる時間はほぼゼロに、読みやすくなり、確認工数の削減へ
  5. 現場で作業終了後すぐにスマホやタブレットでの入力できる

1.手書きでないため、文字の汚さに関係なく情報が把握できる

手書きだと、どうしても人により文字の巧拙があるので、読みづらかったり、大事な事項が読み取れなかったりする恐れがあります。

 

電子化すればタブレットやPCの画面で、整ったフォントの日報を読めるので、文字の上手い下手に関わらず、情報の把握が容易になります。

 

日報を書いた本人に直接聞く手間が減るので、工数削減に繋がります。ただし、表現がわかりにくい場合は別なので、その場合には、日報を電子化する際に、選択式で答えられるようにしてもいいかもしれません。

2.記入漏れや記載ミスは、システムで未然に防げる

業務上必ず必要な項目に関しては、記入しなければ次に進めない等の縛りを設けたり、書くのを忘れてしまったりしたら、アラートが表示されるなどの方法をシステムに組み込んでおけば、記入漏れが防げます。

 

そうした場合、管理者の方に日報が渡る前に提出時に従業員自身が記入漏れや記載ミスに気づけます。管理者の方は、提出内容のチェックをすればいいので、余計な心配をせずに、確認作業に集中ができます。

 

また、答えがある程度パターン化できる場合は、記入事項を選択肢にしておけば、記入も楽になります。さらに、日報に盛り込むべき事項が新たに生じた場合でも、フォーマットに追加することが容易です。

3.良い/悪い報告がリアルタイムに分かるので、すぐに対応・周知ができる

日誌を電子化するとデータの共有が瞬時に可能になります。いい報告も悪い報告も日報が提出された時点ですぐにわかるので、機械の不具合だけでなく、従業員の体調などもすぐに把握できます。

 

もし周知しなければいけない報告があれば、すぐに共有もできます。また、製造物の変更や追加などがあった際も、日報を電子化していれば、記入項目の変更も容易です。

 

日報の電子化により、作業現場のことが把握しやすくなり、事故に繋がりかねない危険をすぐに察知できるようになります。

4.回収や転記にかかる時間はほぼゼロに、読みやすくなり、確認工数の削減へ

所定のフォーマットやノートに手書きした業務日報は、管理職者やリーダーの元に集められて、それを確認することが一般的です。

 

しかし、出し忘れや業務が多忙で書いている余裕がないなどの理由で、全員の分がきちんとそろわないこともあります。また、管理者も各メンバーの報告の中からさらに上位職者に提出するために転機するので、手間がかかっているかと思います。

 

日報を電子化すると、未提出者には適宜アラームを出すことや、電子データ上で引用等も可能になります。その結果、報告書の作成の手間も減るでしょう。

5.現場で作業終了後すぐにスマホやタブレットで入力できる

管理職者の立場からは、現場での作業直後にすぐ日報を書いて提出してもらい、新鮮な情報を手に入れたいところです。しかし、製造業の現場は必ずしも、日報を紙に記載するのに適しているとは言えません。

 

そのため、現場から離れた事務所などで日報を書いていることが多いと思います。しかし現場の職員にとって、作業現場でのすべての作業が終了した後、改めて机に向かって日報を書くというのは非常にハードルの高い仕事です。ついつい端折った報告となってしまいがちですが、そこにこそ、大きな問題が潜んでいることは十分にあり得ます。

 

もし作業の終わりに現場でタブレットやスマホで報告が行えれば、手軽に正確な情報を送ることができます。故障が心配になりますが、専用の保護フィルムやカバーをつければ、水や油などの影響を極力抑えることが可能です。

 

また、不具合を発見したら即時に管理職者や他のメンバーと共有化できます。文章だけではなかなか伝わりづらい状況も、写真を添付して送れば一目でわかります。

日報を電子化する際に気をつけたいこと

日報の電子化には様々なメリットがありますが、導入に際しては注意すべき点もいくつかあります。主な項目を二つ紹介します。

1. 電子デバイスやソフト・アプリに嫌悪感をもつ人々もいる

手書きの日報を書き続けてきた中高年に多いのが、電子デバイスやアプリケーションを苦手とする方々です。

 

いまさら、新しい機械やアプリの使い方を覚えるのは面倒や、日報は手書きすることで、より深く不具合の原因を追究することができるという考え方を持つ現場担当者もいると思います。

 

一理あるとは思いますが、こうした人々には、記載する内容は紙の時と同じであることや、写真などの添付が容易でより詳細な報告ができるといったメリットを丁寧に説明し、慣れてもらえるよう働きかけていきましょう。

2.端末代や初期費用のコストがかかる

もう一つの問題はコスト面です。タブレットやスマホの他、アプリの使用料、会社の既存のシステムを利用する場合はそのシステム改定の費用が掛かります。使用する人数や導入によるメリットの見極め、導入は慎重に行ってください。

 

今すぐ必要になる企業も、まだ紙でも良い企業もあるので、次の事例を参考に自社でも日報の電子化を検討していいか考えてみましょう。

業務日報を電子化した企業と取り組み事例

ここからは業務日報を電子化した企業の取組とその結果得られた効果を紹介しいます。自社と同じような困りごとや課題であれば、参考にして日報の電子化を検討してみてください。

【食品製造業】HACCP対応のための日報、確認工数が5分の1に

福島県郡山市で1906年の創業以来、伝承された方法と厳しい品質管理で、味噌やあま酒といった糀製品を製造しているのが宝来屋本店。こちらの企業では、業務日報をはじめとする管理記録はすべて紙に書いて残していました。

 

しかし、過去に水害にあって5年分の記録がすべて使えなくなった経験があり、若手を中心に各種記録の電子化を求める声が高まっていました。

 

2021年6月のHACCP義務もあり、業務の負担が増すことを防ぐためにカミナシでの日報管理を進めました。導入はITに抵抗のない若手に任せたことにより、スムーズに進みました。日報を電子化した後では、日報の確認作業が15分から3分に圧縮できました。

 

現場から率先してDX推進へ。現場を変えるトップの思い

【機械製造業】日報の作成、確認時間が削減

京都府亀岡市で産業用の乾燥器を製造している中央技建工業株式会社(以下中央技建)は、設備の月次点検に加え、製品の社内検収や日報、安全パトロールの記録などを全て紙で記録していました。

 

記録やその確認作業に多くの時間を取られたり、その保管場所に困っていました。万が一、製品に問題があったときも、対象の記録を探すのに時間を要する懸念などもありました。

 

そこで製品の検査書や日報を電子化することで、大幅に記録や確認の作業時間を削減し、業務効率化に繋がりました。日報のみならず、社内全体の紙作業を電子化し、社内のデジタル化への意識も向上した事例は以下のより詳しくご覧になれます。

 

▶ 2030年を見据えたペーパーレス化と従業員の意識改革を推進

日報の電子化で管理業務の効率化を!

食品製造業では、HACCPの義務化や、機械製造業でも取引先などからの厳しい要求などで、ますます品質管理項目が細かくなってきています。

 

不具合発生時の迅速な対応のために製造現場の記録である業務日報を即時に検索できる仕組みを作ることは重要です。

 

また日報電子化により蓄積したデータには、不具合への対応だけでなく、業務改善や、利益構造の改善につながるヒントが数多く含まれています。このタイミングで日報の電子化を検討してみてもいいでしょう。

 

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