わかりやすいチェックリストの作り方を紹介!業務ミスや記録漏れをなくすための3つの工夫

製造現場で使われているチェックリストは、ミスの防止や業務標準化(バラツキ防止)、作業状況の確認などの目的で使用されます。これらの目的を果たすためには、使いやすいチェックリストを準備する必要があります。チェックリストを使う目的を明確にし、必要な項目を洗い出して、確認することを時系列での並び替え、理解しやすいテキストで表記することが大切です。また記録の手間は最小限にして、注意点や明確な基準の掲載も重要なポイントになります。

 

よく混同されがちなチェックリストとチェックシートですが、チェックリストは主に手順や確認項目を列挙したもの、チェックシートはデータを記録し分析するためのものと考えると分かりやすいでしょう。

 

この記事では、現場で実際に活用できる効果的なチェックリストの作り方について、具体的な手順とポイントを解説します。現場での記録の抜け漏れを大幅に削減して、業務効率化を目指しましょう。

 

チェックリストを使用する目的は3つ

チェックリストは単なる記録用紙ではありません。現場で効果的にチェックリストを活用するためには、まずその目的をしっかりと理解することが重要です。チェックリストの主な目的は、ミス防止と業務標準化(バラツキ防止)、作業状況の確認の3つに集約されます。

 

目的

詳細

ミス防止

・チェックリストに沿った作業で、必要な工程を漏れなく実施

・作業手順が明確化され、誰でも問題なく作業を完遂できる

業務標準化(バラツキ防止)

・決まった手順で作業ができ、人によるバラツキがなくなる

・属人化を防ぎ、誰でも同じ品質で作業が可能

作業状況の確認

・現場の作業進捗が一目で把握可能

・シフト交代時の引き継ぎがスムーズになり、業務効率の向上

チェックリストの主な目的

 

製造現場において、これら3つの目的を果たすことで、業務の質が上がり、会社全体のに良い影響を与えます。例えば、ミス防止のために作成したチェックリストは、必然的に業務の標準化にもつながります。また、 チェックリストで適切に記録を残すことで、作業状況を確認しやすくなり、問題の早期発見や迅速な対応も可能になります。

わかりやすいチェックリストの作り方

ここでは、現場で活用されるわかりやすいチェックリストを作るために、以下の手順に沿って進めると良いでしょう。

 

  1. チェックリストを使う作業自体の目的を明確にする
  2. チェック(確認)に必要な項目をすべて洗い出す
  3. チェックリストに載せる項目を時系列に並び替える
  4. チェックリストに載せるテキストを理解しやすく書く
  5. チェックリストに沿って作業を行い、正しく作業ができるか確認
  6. 作業工程や原材料などの4M変更があったら都度見直す

 

チェックリストを作成する際は、現場目線で作成することが大前提です。いくら管理者が理想とする内容を盛り込んでも、実際に使用する従業員やパート・アルバイトの方々にとって使いづらければ、本来の目的を達成することはできません。現場の従業員と密にコミュニケーションを取りながら、使いやすさを追求しましょう。

1.チェックリストを使う作業自体の目的を明確にする

現場で使ってもらえるチェックリストを作るために、まずは、チェックリストが必要となる作業の目的を明確にすることから始めましょう。

 

例えば、工場での出荷前の検品作業であれば、品質基準を満たした製品のみを出荷することや、異物混入や不良品の出荷を防止することなどが目的になります。

 

目的を明確にすることで、以下のようなメリットが生まれます。

 

  • チェック項目の取捨選択が容易になる
  • 現場スタッフの理解と協力が得やすい
  • 運用後の評価がしやすい

 

チェックリストを活用して、何を達成したいかという目的を明確にすることで、チェックリストを使う理由が理解できるようになります。

2.チェック(確認)に必要な項目をすべて洗い出す

チェックリストの目的が定まったら、次は必要なチェック項目を漏れなく洗い出します。項目の洗い出しでは、順序や優先順位を考える必要はありません。まずは、必要な項目を可能な限り列挙することに集中しましょう。

 

項目の洗い出しには、現場での直接的な情報収集が欠かせません。例えば、ベテラン作業者の手順を細かく観察したり、実際に自分で作業を行ってみたりすることで、書面だけでは気づかない重要なポイントが見えてきます。

 

また、現場スタッフへのヒアリングも効果的です。よくミスが起きる工程や注意する作業など現場ならではの知見が得られます。

 

項目の洗い出しは一度で完璧を目指す必要はなく、運用しながら継続的に見直し、必要に応じて項目を追加していく姿勢が重要です。現場の状況は常に変化しており、新たなチェック項目が必要になることもあれば、既存の項目が不要になることもあります。そのため、定期的な見直しと更新を前提とした柔軟な考え方で、項目の洗い出しを進めていくことをおすすめします。

3.チェックリストに載せる項目を時系列に並び替える

必要な項目の洗い出しが終わったら、実際の作業の流れに沿って項目を整理します。この段階では、個々の作業の大小や重要度は一旦置いておき、現場での自然な作業順序に従って項目を並び替えます。

 

例えば、朝一番の製造ラインの立ち上げであれば、以下のように実際の作業順序通りに並べていきます。

 

  • 作業着への着替え
  • 手洗い・消毒
  • 設備の電源投入
  • 動作確認

 

この際、作業者の動く流れも考慮に入れることで、より効率的なチェックリストになります。

 

項目の並び替えが完了したら、この順序でチェックして、確実に作業が完了するかを確認します。途中で前の工程に戻る必要がないか、あるいは同時並行で行える作業が離れた位置に配置されていないかなど、実用面での確認を行いましょう。

4.チェックリストに載せるテキストを理解しやすく書く

チェックリストの項目を時系列に並べ終えたら、次は各項目の表現方法を整理します。わかりにくい表現であると、現場での解釈の違いや作業のバラつきを生む原因となるので、誰が読んでも同じ理解ができる明確な表現を心がけましょう。

 

例えば、食品工場の検品作業で「異物なしを確認する」という表現では、人によって「目視で確認」か「金属探知機での確認」なのかの解釈が分かれる可能性があります。この場合、チェックリストの項目で「金属探知機で異物がないことを確認する」と具体的に記載することで、すべての従業員が同じ解釈になり、異なる方法での確認を防げます。

 

表現方法に関する基本的なポイントとして、「何」が「どのようになっているか」を記載することが重要です。例えば、「製品の色を確認する」ではなく「製品の色が規格書のサンプル通りであることを確認する」というように記載します。また、「十分な加熱」ではなく「85℃で3分以上加熱されていることを確認する」というように、数値基準を明確にすることも大切です。このように具体的な行動と判断基準を明確に示すことで、作業者による解釈の違いを防ぎ一定の品質を保つことにつながります。

5.チェックリストに沿って作業を行い、正しく作業ができるか確認

チェックリストが完成したら、実際の現場で正しく作業ができるかを確認します。チェックリストの作成者だけでなく、実際に使用する現場のスタッフにも行ってもらうことが重要です。特に、経験の浅い作業者や新人スタッフにも確認してもらうことで、より実用的な問題点が見えてきます。

 

例えば、ベテラン作業者には当たり前のチェック項目でも、新人には理解が難しい表現があるかもしれません。また、作業の流れが現場の実態と合っていない箇所や予想以上の時間がかかる作業が見つかることもあります。

 

この確認時に問題点が見つかった場合は、すぐに修正を行いましょう。「これくらいは分かるだろう」という思い込みを排除し、現場からのフィードバックを謙虚に受け止めることが、使いやすいチェックリストを作る秘訣です。また、この段階で写真や図を追加したり、注意書きを補足したりすることで、より分かりやすいチェックリストが作れます。

6.作業工程や原材料などの4M変更があったら都度見直す

製造現場における4M(人員体制や製造設備、原材料、作業手順)に変更があった場合は、必ずチェックリストの見直しが必要です。4Mは品質に直結しており、一つでも変更があれば、それに応じた確認方法や基準値の修正が必要になります。

 

そのため、4Mの変更があった場合は、速やかに作業の見直しとチェックリストの変更を行いましょう。

 

また、チェックリストは時間の経過とともに形骸化する危険性があります。いつも問題ないからと確認を怠ったり、記録することが目的となったりすることを防ぐため、定期的な見直しも重要です。チェックリストを見直す際は、現場のメンバーから直接意見を聞き、現実とかけ離れていないようにしましょう。

 

▶ おすすめのチェックリストツールをまとめた記事は以下からご覧いただけます。

  チェックリスト電子化ツール10選。失敗しない選び方と現場に受け入れてもらうための推進方法

チェックリストを作るときに抑えておきたい3つの工夫

効果的なチェックリストを作成するには、現場の従業員が使い勝手の良くなる工夫が欠かせません。特に重要なのは以下の3つです。

 

  1. 記録する際の手間を最小限にする
  2. 業務のポイントや注意点も掲載する
  3. 誰がチェックしても迷わない明確な基準を設ける

 

これらの工夫を取り入れることで、現場で実際に活用されるチェックリストが作成できます。以下、各ポイントの詳細を解説します。

1.記録する際の手間を最小限にする

チェックリストは作業と並行して記録していくものなので、記入自体が業務の妨げとなってはいけません。記録の手間を最小限に抑えることで、作業効率を落とすことなく、確実な確認作業を実現できます。

 

効率的な記録方法として、はい/いいえ、◯/✕などの選択式の回答方法がおすすめです。特に手袋を着用した状態での作業が多い製造現場では、できるだけシンプルな記録方法が望ましいでしょう。また選択式の回答方法は、記入時間を大幅に短縮できるだけでなく、判断がしやすくなるメリットもあります。

 

デジタル化が進んでいる現場であれば、タブレットでのチェックやカメラでの撮影記録なども効果的です。例えば、製品の外観検査の結果やラベルの印字・表示写真で残したり、バーコードをスキャンして製品情報を自動入力したりすることで、より正確かつ効率的な記録が可能になります。

2.業務のポイントや注意点も掲載する

チェックリストの基本的な役割は作業の確認ですが、チェック項目の横にポイントや注意点を記載することで、作業の質が高まり製品全体の品質向上にもつながります。

 

例えば、温度管理の項目であれば「高温時は必ずプローブを中心部まで差し込む」といった具体的なポイントや、異物確認の項目には「特に接合部分は要注意」といった注意点を添えておくと、経験の浅い作業者にとって、作業がしやすくなると同時に、不安の払拭にもつながります。

 

また、補足情報があることで、作業をする目的も理解しやすくなります。作業の目的や重要性を理解することで、適切な作業ができるので、結果として事故や不適合品の発生を防げます。

3.誰がチェックしても迷わない明確な基準を設ける

チェックリストの最も重要な役割は、作業者の経験や熟練度に関係なく、同じ品質基準で確認できるようにすることです。そのためには、誰が見ても同じ判断ができる明確な基準を設ける必要があります。

 

例えば、「適度な締め付け」という表現では、ベテランと新人で判断が分かれる可能性があります。これを「トルクレンチで2.0N・mに締め付ける」と具体的な方法と数値を示すことで、誰でも同じ基準で作業ができます。

 

また言葉での表現が難しい項目については、写真やイラストを活用することでわかりやすいチェックリストになります。特に製品の色味や質感、異常の有無を判断するような官能検査などでは、良品の状態と不良品の状態を写真で示すことで、判断基準が明確になります。最近では、タブレット端末を使用して動画で手順や製品見本を確認できるようにしている現場も増えています。

 

このように、具体的な数値や視覚的な判断が必要なものは画像や動画を用いるなどの項目の特性に応じた基準の示し方をすることで、作業者による判断のバラつきを最小限に抑えられます。

 

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  チェックリスト電子化ツール10選。失敗しない選び方と現場に受け入れてもらうための推進方法

わかりやすい使いやすいチェックリストを作って、作業標準化をし、ミスをなくそう

本記事では、効果的なチェックリストの作成方法について、具体的な手順とポイントを解説してきました。チェックリストは単なる確認作業の記録ツールではなく、業務の標準化とミス防止を実現する重要な品質管理ツールです。

 

作成の基本となる6つのステップ(目的の明確化、項目の洗い出し、時系列での整理、分かりやすい表現の使用、実地での確認、定期的な見直し)と、3つの工夫(記録の効率化、ポイント・注意点の掲載、明確な判断基準の設定)を押さえることで、現場で本当に役立つチェックリストを作成できます。

 

チェックリスト作成ツールについては、ExcelやWordなどの一般的なソフトウェアから、手書きのフォーマットまで、現場の状況に応じて選択できます。最近では、専用のチェックリスト作成アプリやシステムも数多く登場しており、データの集計や分析が容易になっています。

 

特に、毎日の記録や集計に多くの時間を費やしている場合は、チェックリストの電子化を検討する価値があります。タブレットでの入力やクラウドでのデータ管理により、記録作業の効率化だけでなく、傾向分析や改善点の発見も容易になります。

 

重要なのは、どのような形式であれ、現場で実際に使用する人々にとって使いやすく、かつ効果的な品質管理が実現できるツールを選択することです。本記事で解説した作成のポイントを参考に、現場に最適なチェックリストを作成し、より確実な品質管理の実現を目指してください。

 

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