品質管理のISOとは何か?認証取得のメリット・デメリット

ISO(International Organization for Standardization)は、世界中の取引がうまくいくようにいろいろな分野に対して必要な標準や規格を制定しています。品質管理のISOとしては、ISO9000sという品質マネジメントファミリーがあります。

 

そのなかのISO9001は要求事項を定めており国際的に広く知られているため、耳にしたことがある方もいるでしょう。なお、要求事項とは規格において組織が実現すべき基本要件のこと。この要求事項に適合していると評価されることで、規格の認証がおこなわれます。

 

今回は、品質管理のISOに注目して、認証取得・維持の流れや認証取得のメリット・デメリットなどについて解説します。高い品質を目指したい方にとって有益な情報をまとめたので、ぜひご一読ください。

品質管理のISOとは?

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品質管理のISOとは、ISO9000s(品質マネジメントシステムファミリー)のことです。ISOは、工業製品の規格とマネジメントの規格の2つに分けられます。工業製品の規格は個別の製品に関するものであるのに対して、マネジメントの規格は管理や仕組みに関するものです。

 

ISO9000sは、マネジメントの規格の1つ。ほかにもマネジメントの規格としては、ISO14000s(環境マネジメントシステム)やISO/IEC27000s(情報セキュリティマネジメントシステム)、ISO22000s(食品安全マネジメントシステム)などがあります。

ISO9000ファミリー

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ISO9000ファミリーは、狭義だと4種類、広義だと約25種類の規格を指します。ここでは、狭義で捉えた場合の4種類の規格について解説しましょう。それぞれ違った役割や目的があるため、分けて理解したいところです。

ISO9000

ISO9000では、品質マネジメントシステムの基礎と用語を定義しています。ISO9000ファミリーの根幹を成しているといえるでしょう。

ISO9001

ISO9001は、知名度が高い規格です。要求事項が書かれており、ISO9000ファミリーの中核を成します。あらゆる業種・業態・組織での活用を想定して作られました。その求めるレベルは高すぎるわけではなく、きちんとルールを確立・運用すればクリアできるようになっています。

ISO9001認証取得企業

2020年11月時点では、日本の2万6,902の組織がISO9001認証を取得。基礎金属・加工金属製品や建設、電気的および光学的装置などを中心にして、世界的に通用する規格として認知されています。具体的には、アサヒビール株式会社 生産本部やイトウ製菓株式会社、コスモ石油株式会社 四日市製油所などがISO9001認証を取得済みです。

ISO9004

ISO9004は、ISO9001よりも高い品質マネジメントレベルを求める組織のために作られた規格。ISO9004は、要求事項の規格ではなく、あくまでも参考文書・ガイドラインの規格であるという点が特徴的です。

ISO19011

ISO19011は、監査をおこなう際の方法を規定したガイドライン文書。参考文書のため、書かれている方法が絶対的というわけではありませんが、必要事項を網羅することは可能でしょう。

品質管理のISO認証取得と維持の流れ

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品質のISOであるISO9001の認証取得・維持の流れを解説します。ISO9001認証を取得すると、業務効率の改善・組織体制の強化が図れたり仕事の見える化によって業務継承の円滑化がおこなわれたりする効果を享受できるでしょう。

 

結果的に、強い組織を形成することができ、組織価値を高められます。競争力をつけたい場合におすすめしたい規格のため、取得・維持を検討してみてはいかがでしょうか。

システムの構築と運用

まずは、システムの構築と運用をおこないます。このステージでは、PDCAサイクルの活用を推奨。

 

Planでは、認証取得に関する社内情報の収集・事務局といった推進体制の整備・認証取得までの日程計画の作成・適用範囲の決定・手順や規定の作成などをおこないます。対応すべきことが多いため労力が要りますが、Planをしっかりおこなうことでその後の工程を円滑に進められるでしょう。

 

Doでは、マネジメントシステムの運用を開始し、手順や規定に従った活動を実践します。そして、Checkにて活動内容の分析や評価を実施。内部監査と是正処置が必要です。Actionでは、マネジメントレビューの実施をおこない、必要に応じてマネジメントシステムの見直しを図ります。

 

「審査登録申込書」と「審査登録契約書」を作成および提出して完了です。

認証の取得

ISO9001認証を取得するためには2段階の登録審査を受けます。

 

ファーストステージ審査では、文書審査を中心に、マネジメントシステムの構築状況およびセカンドステージ審査のための情報収集を実施。セカンドステージ審査の準備が整っていると判断されたら計画を提出します。

 

セカンドステージ審査では、適用範囲に対するマネジメントシステムの実施状況を評価し、規格への適合性をチェック。万が一、不適合事項が見つかったら所定の期日までに是正処置計画書を提出する必要があるため、クリアすべきことを念入りに確認しておきましょう。

 

2段階の審査に合格したら登録可として認められ、3年間を有効期限とした登録証が発行されます。

必ずおこなうこと

意外に忘れがちですが必ずおこなうべきこととして、セカンドステージ審査前までの内部監査とマネジメントレビューの完了が挙げられ、2つともしっかり終えている必要があるため、注意が必要です。

JQAからのサポート

ISO9001認証を取得するにあたってJQA(一般財団法人 日本品質保証機構)からのサポートを受けられます。具体的には、基礎的な知識を習得するためのセミナー受講やマネジメントシステム構築に関する困りごとに審査員が応える業務相談・予備評価サービスなど。

 

業務相談では、規格の解釈やマネジメントシステムに関する疑問について相談にのってくれます。予備評価サービスでは、登録審査とは別に、システムの構築・運用状況を審査と同様の形式で確認し、確認結果を報告書にまとめて提供。専属の担当者が一貫してサポートしてくれるため、ぜひ活用したいところです。

認証の維持

ISO9001認証は取得すればよいというものではありません。取得し、その後維持するのが重要です。定期審査や更新審査では、マネジメントシステムが継続して規格要求事項に適合しているか確認されます。事前に審査計画書が渡されるため、しっかり準備しておきましょう。

 

更新審査において更新可と認められれば新たな3年間を有効期限として登録証が発行されます。システム運用・認証保持に関してもPDCAサイクルを回し、日々改善する努力を怠らないようにしましょう。

ISO認証のメリットとデメリット

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ISO認証の取得と維持について解説したので、「けっこう大変だ…」という印象を持った方もいるかもしれません。たしかに手間と費用がかかりますが、得られるメリットも多くあります。

 

そこで、ISO認証のメリットとデメリットを公平な視点で解説しましょう。自分の組織にとって必要かどうか判断してみてください。

社会的信用の獲得

得られるメリットとして大きいのが、社会的信用の獲得です。ISO認証を受けると、その事実を組織内外に公表できるため、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。顧客が個人であれ企業であれ、信頼を獲得するのは非常に重要なはずです。もちろん、ISO認証を受けるだけで組織におけるすべての課題が解決するわけではありませんが、「ISO認証を取得しているから安心して取引できる」と思う方もいます。

組織システムの確立

また、ISO認証を取得する過程で、製品やサービスの高い品質を保てるように作業手順の明確化を実施。具体的には、マニュアルや品質管理チェックリストなどの整備が進むでしょう。作業員の入れ替わりが多い業務であっても、問題なく円滑に対応するための体制を整えられるわけです。誰が作業しても効率よく安定した製品やサービスを生産できる組織システムを確立・明確化できます。

責任と権限の明確化

企業の不祥事がニュースで取り上げられた際に問題となるのが、責任の所在です。責任者がうやむやゆえ、起こる問題もあるでしょう。ISO認証を取得するためには責任と権限の明確化をおこなうため、万が一問題が起きても解決しやすくなります。問題発生を0件にできれば言うことないですが、なかなか難しいこと。問題解決のスピードが組織の信頼にもつながります。

手間と費用がかかる

ISO認証取得のデメリットにも触れましょう。まず、手間と費用がかかるのが難点です。マニュアルや社内規定を作るのに時間がかかります。しかも、一度作ればよいというものではなく、変更されれば適宜対応しなければいけません。

 

また、理想が高すぎる改善を求めて従業員のモチベーション低下を招く恐れもあります。一般的に、ISO認証取得の効果が出るのは2~3年後といわれているため、効果を感じられるまで維持するモチベーションが大変。ISO認証取得自体を目的とするのではなく、取得したらどのようなメリットがあるのかに注目して前向きに取り組みたいところです。

まとめ

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今回は、品質管理のISOに注目して、認証取得・維持の流れや認証取得のメリット・デメリットなどについて解説しました。難しく捉えると億劫になりますが、できることから少しずつ始めて品質管理を徹底していきましょう。品質のISOは、組織の競争力を向上させ、社会的な信頼を構築するために役立ちます。

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