ISO14001を取得するメリットとは?デメリットも合わせて解説

「ISO14001取得」などと看板や名刺などに載せている企業は多くあります。このように、ISO14001を取得することは企業にとってアピールポイントになるものです。

では、そのISO14001とはどのようなものなのでしょうか?今回は、この規格の詳しい内容や取得することでのメリット・デメリットを見ていきましょう。さらに、なぜかISOを取得できたのに返上している企業がいる理由について解説していきます。

ISO14001とはどんな規格か

まずはISO14001とはどんな規格かを確認していきましょう。

環境マネジメントシステムの規格

ISO14001とは、「環境マネジメントシステム」についての国際的な規格です。企業活動や製品、企業のサービスなどのせいでできてしまう環境への負荷を低減するためにあります。環境へのダメージの低減を持続的に実施できるよう、マネジメントシステムを構築・運用するという国際的な標準規格です。

 

なお、このISO14001を日本語に訳したものが日本工業規格(JIS)という規格でも制定されています。

環境リスクの低減を目的としている

先述のとおり、ISO14001とは環境リスク低減に取り組むことを目的に作られた規格です。企業ではさまざまな資源を豊富に使い経済活動をおこなっているため、環境への影響も大きくなっています。

 

もともとは1992年にブラジルで開催され地球サミットと呼ばれた「環境と開発に関する国際連合会議」をきっかけにつくられました。急速な経済発展により、環境破壊やそれによる被害などが世界レベルで起きたことが理由。そんな経済活動をおこなう中でも、環境にかける負担を少なくできるようなシステムを作ることが目的です。

 

▶︎ISO14001とは?初心者にも簡単にわかりやすく徹底解説

 

取得すると得られるメリット

ISO14001を取得することで得られるメリットはたくさんあります。どのようなメリットがあるのか、確認していきましょう。

積極的な環境保全活動のアピール

企業でISO14001を取得すると、「積極的に環境保全活動をしている会社だ」というアピールが可能です。環境についての意識がどんどん高まっている現在。ISO14001を取得することで企業による社会的責任の達成ができているということが第三者機関によって証明してもらえるため、環境を守る活動の推進への社会的ニーズへの対応ができるのです。

 

また積極的な環境保全活動のアピールは、企業自体のブランドイメージを上げることにもつながります。

業務が標準化し、事故が起きにくくなる

環境リスクの未然回避にもなることも、ISO14001のメリットです。環境に関するマネジメントシステムを構築することで、業務の標準化ができ、それによる事故などを未然に防げます。

 

マネジメントシステムをしっかりと活用することで、関連している法規制についても自然に遵守が可能です。さらに環境に関する訴訟などを未然に防止ができ、環境を気にする市民団体からの圧力の回避にもなります。

事前確認で緊急時にもスムーズな対応が可能

環境リスクの未然回避にもなることに加えて、環境リスクについて前もって知ることができることも大きなメリットです。万が一のことがあっても、事前にそのような緊急事態が起こった場合の手順のレビューや訓練をおこなっています。そのためもしも事故が起きてしまった場合にも、パニックになることなく、スムーズな対応を取ることが可能になるのです。

材料の費用、エネルギー消費などの削減

企業の経済活動では、紙や木材、電気などのエネルギーなど、たくさんの資源を使っています。環境に気を使うことで紙などを使う量も減るため、材料の費用やエネルギー消費量などを削減することが可能です。無駄な費用を捻出することがなくなるため、企業の収益性もあがります。

業務改善による利益率の上昇

業務が改善されることによってできる利益率の上昇も、ISO14001のメリットです。業務が標準化することで必要以上におこなう業務がなくなり、人件費や材料費などの各種費用が抑えられます。その分が利益に回るということです。

会社としての信頼性の向上

会社として信頼性が向上されるのもISO14001のメリットのひとつです。環境問題に積極的に取り組んでいる企業はクリーンなイメージが強く、近隣の住民や消費者、取引先など、関係があるさまざまなところからの信頼感が上がります。また、ISOという信頼性が高い国際機関から認められていること自体にも企業の安心感が増すものです。

企業や環境への意識が高まる

あまり意識されにくいものですが、企業や環境に対しての従業員の意識が高まることもメリットになります。環境保護にのりだすことで、自分の勤める企業に対してイメージが高まりさらにやる気を出すことも可能です。また環境に対して責任感を持てるようになることや時世に合わせた柔軟な意識を持つことができることなども挙げられています。

取得のデメリット、返上する企業がある理由

このように、ISO14001にはさまざまなメリットがあります。では、取得のデメリットはあるのでしょうか?ISO14001をせっかく取得したのに、その後返上してしまう企業がある理由などを確認していきましょう。

マニュアル作成など作業が増える

デメリットのひとつはマニュアル作成などのISO取得に関連する作業が増えることです。従来おこなっている通常業務にプラスしてマニュアル文書を作成したり、そのマニュアルにそった対応ができたりしているか、マネジメントシステムは正常に機能しているかなどのチェック作業など業務が増えることになります。そのため、やらなければならない業務が増え、対応に時間がかかってしまうことがデメリットであるといえるでしょう。

他規格に比べ企業の改善効果が実感しにくい

ISO14001のもうひとつのデメリットは、これ以外の規格と比べると企業にとっての改善効果が分かりにくいことです。「品質マネジメントシステム」など、企業自体の利益や製品・サービスの品質の向上に結び付きやすい規格のほうが取得を優先されていることが多いという実態があります。

 

そのため、ISO14001は企業にとってあまり重視されにくいようです。また、環境問題に対するマネジメントシステムは大変重要なのですが、実際におこなっていると「ほとんど紙などの資源の節約や節電だけしかできなかった」など、自分たちがやっていることが本当に環境に役立っているのかが実感しにくいという問題点もあります。

 

改善効果が分かりにくく、それなのに作業は増えるということで、せっかく取得したISO14001を返上してしまう企業が出ているようです。

まとめ

今回は、ISO14001とはどんな規格なのかやそれを取得するメリット、デメリットについて解説をしました。ISO14001は環境問題という大きな問題に対しておこなわれているマネジメントシステムのため、自社だけの取り組みでは効果が実感しにくいものです。

 

しかしみんなが気にすることで、確実に環境保護の効果はあります。また、環境保護以外にも企業としての信頼性が高まることや事前確認で緊急時にもスムーズな対応ができるようになること、使っていた資源が減らせることによるコスト削減など、さまざまなメリットがあるものです。ぜひ、この規格の取得を検討してみましょう。

 

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