新QC7つ道具は何のため?QC7つ道具との違いと各ツールを紹介

新QC7つ道具という用語を聞いたことはありますか?新QC7つ道具はQC7つ道具同様に、品質向上を図るための分析に欠かせない手法です。

 

では、すでにあるQC7つ道具と何が異なるのでしょうか。この記事では両者の違いを解説した上で、各ツールがどのような特徴を持っているのかを紹介していきます。品質管理に関心を持っている方はぜひご覧ください。

 

QC7つ道具と新QC7つ道具の違い
pexels-lukas-669616

まず、QC7つ道具がどのようなものか、ここで簡単におさらいしておきましょう。QC7つ道具は「散布図」「チェックシート」「管理図」「特性要因図」「ヒストグラム図」「パレート図」「層別・グラフ」の7つの分析ツールの総称で、数値データを用いた定量面からの分析を通じ製造業などの品質改善に役立てる手法です。

 

日本製品の品質向上には、QC7つ道具が役立ったと言われることもあります。ちなみに、QCという語句は品質管理を意味する「Quality Control」の頭文字をとったものです。

 

一方、N7という呼び名もある新QC7つ道具は「親和図」「連関図」「系統図」「マトリックス図」「アローダイヤグラム」「PDPC」「マトリックス・データ解析」という7つのツールで構成されます。こちらも品質管理に役立つところは共通していますが、言語データを整理することにより定性面からの問題解決を目指すところが特徴です。

 

QC7つ道具では難しい部分の解析も可能なため、製造以外の分野でも新QC7つ道具は注目を集めています。

新QC7つ道具の各手法を解説

image2-1

では、ここから言語データを図にして整理することで定性面から分析する新QC7つ道具の各ツールの特徴をみていきましょう。

1. 親和図

親和図は、品質管理における問題の要因を相性の良いもの同士でまとめたもので整理・分類し、体系化するものです。例えば「検査基準に関するもの」「部品に関するもの」のように似たもの同士をまとめることで全体を通しての問題点を把握することができ、今まで見えにくかった問題も明確にすることができます。

 

また各自の意見を取り込みやすいため、メンバーの意識向上や組織の活性化につながる点もメリットといえるでしょう。

2. 連関図

例えば、「売り上げが上がらない」という結果には「技術が足りない」「若者の人気を得られない」など、様々な原因があることもあります。原因と結果が複雑に絡み合った問題に対応する際には、連関図が効果的です。連関図では問題とその要因を表記し、それらの因果関係を論理的につなぎます。

 

このように視野を拡げることで問題発生の因果関係を明確にできるため、重要要因を絞り込みやすいという点がメリットです。この手法により、原因が複雑に絡み合った状態でも問題解決に結びつけることができます。

3. 系統図

系統図とは目的を達成するために必要な手段を目的と捉え、系統的に展開して理解するものです。例えば、「使いやすい会議室」を目的に、「利用しやすい設備充実」と「ゆとりのあるスペース」に分類し、そこからさらに派生させていきます。この方法では、まず目的達成のために必要な手段は何かを考え、さらにその手段のためにはどの手段が必要かということを次々に考え出し、ツリー図を作成するという流れです。

 

これにより新たな発想が得られ、実行に必要な手段が何かを最終的に判断できるようになります。

4. マトリックス図

マトリックス図は、複数の対象を網羅的に比較するためExcelのように二つの要素を行と列に配置し、その関連を表記します。例えば、対策案をいくつか挙げ、行に記入し、列には案に対するメリットやデメリット、コストなどを記入することでひと目でわかりやすくなるはずです。

 

各要素の関係性を整理し、それぞれの役割や重要性を理解するのに役立つツールといえるでしょう。

5. アローダイヤグラム

計画遂行に必要な作業手順を、矢印と結合点で結んだ図表がアローダイヤグラムです。プロジェクトマネジメントで用いられるモデルを活用したもので、作業に適したスケジュールを計画することができます。

 

1つ目の作業、2つ目の作業を左から右に記入していき、矢印で結び、下にかかる見込み日数を記入するので、かかる日数を把握しやすいです。

 

また仕事全体を把握しておくことができるため、工程が予定通りに進んでいるかといった進捗管理や時間短縮のための課題を見つけることができます。

6. PDPC

PDPCは「Process Decision Program Chart」を略したもので、プロセス決定計画図と呼ばれることもあります。目標をしっかりと立てても、そこに至るまでには様々な障害がつきものです。

 

そこでPDPCでは、想定される障害や代替案を図にします。例えば、外国人向けに英語で商品案内を作っても、英語圏でない外国人観光客で理解してもらえなかったという事態を事前に予測し、中国語などの他の言語対応をするという対策を立てておくことで、当初の予定と異なる事態に陥っても目標を断念せずに計画を遂行することが可能です。

7. マトリックス・データ解析

マトリックス・データ解析では、マトリックスで構成された相関図に従い、複数の変数をもつデータを解析します。言語データを用いる新QC7つ道具の中で唯一数値を扱うモデルです。

 

自社の設備判断の事例のように、1日の設備平均停止時間、1日の設備平均停止回数、平均不良率、処理できる品種数など評価が必要な項目が大量にある場合であっても、それぞれマトリックス図のどこに位置するかをまとめることで項目数を減らして解析することができるのが特徴です。

 

つまり、マトリックス・データ解析を使えば各設備にどのような傾向があるのかを判断することができます。傾向を把握すると、問題解決の糸口が見つからない時でも、その手がかりを掴むことができるのです。

まとめ

image4-1

以上、新QC7つ道具の各ツールを紹介しました。新QC7つ道具では言語情報や文字情報の言語データを扱うことで、QC7つ道具では解析しきれなかった問題にも対応することができます。

 

営業や設計など製造分野以外の現場で、いかに品質向上を図るか悩んでいた方は主に数値を扱うQC7つ道具だけでなく、今後は定性面に注目した新QC7つ道具も活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

paperless-sidebar-cta-1

カテゴリから探す