5S3定とは?目的と管理者が意識すべき7つのポイント

自社で5Sのルールを決めて運用してみたものの、なかなか上手くいかずに、従業員ごとに自分ルールを定め、形式上の5Sになってしまったり、改善がうまくいかなったりで思うようにいかないことがあります。そんな状況でお困りの際に、改めて「3定」の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

 

3定とは、決められた位置(定位)、決められた物(定品)、決められた量(定量)の3つの定を意識するものです。主に、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)のなかでも「整頓」をおこなう際に用いられる手法です。

 

本記事では、5S3定の本来の意味や目的、実際に取り入れる際のポイントを現場の状況に沿って解説していきます。3定の意味だけでなく実践しやすい具体的な方法を知りたい方、ただ3定をやるのではなくそれを維持していくためのコツを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

5S3定(ごーえすさんてい)とは?

3定/3定管理とは、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の中でも、整頓をおこなう際に用いる管理手法で、定位(決められた位置)と定品(決められた物)、定量(決められた量)の3つの定を意識するものです。

 

3定を実践することで、現場の環境改善や作業効率の向上、ムダの削減などを図れます。具体的には以下のようなメリットが期待できます。

 

  • 必要なものをすぐに取り出せる
  • 在庫の適正化により、スペースの有効活用や在庫管理コストの削減ができる
  • 異常や不足に気づきやすくなり、トラブル防止や早期対応が可能になる
  • 職場の美化により、従業員のモラル向上やお客様からの信頼を獲得できる

 

3定は5Sの目的であるムダをなくし、生産性の向上や環境整備をすることで従業員のモチベーション維持や安全性の確保をするために非常に有効な手法です。

 

ただし、形式的な5Sになってしまっては、本来の目的は達成できません。3定を意識し、従業員一人ひとりが主体的に取り組むことが大切です。定位、定品、定量をしっかりと決めて視覚的にもどこに何があるか分かりやすい状況を作り、誰でも実践しやすい環境を整えましょう。

 

5S(整理や整頓、清掃、清潔、しつけ)とは?目的やポイント、注意点を解説

3定を決める目的

3定を決める目的は、5Sの「整頓」を真に実践し、現場の効率化とムダの削減を図ることです。多くの現場では、5Sの一環として整頓に取り組んでいますが、単に物を並べたり、見た目だけ整えたりするだけでは不十分です。

 

一見きれいに見えても、実は必要なものがすぐに取り出せなかったり、在庫が適正でなかったりと、問題が潜んでいるケースもあります。

 

5Sの本来の目的は、ムダをなくし、生産性の向上や環境整備をすることで従業員のモチベーション維持や安全性の確保をすることです。そのためには、形式的な整頓ではなく3定に基づいた実践的な整頓が重要になります。

 

3定を決めることで、以下のような効果が期待できます。

  1. 【業務効率化】必要なものが必要なタイミングですぐに使える
  2. 【コスト削減】必要なものがなくなる時に購入できるのでムダな購入をしなくなる
  3. 【リスク軽減】必要なものの紛失や商品への異物混入を防げる

ここでは、3定を決めることの目的や具体的な効果を解説します。

【業務効率化】必要なものが必要なタイミングですぐに使える

3定を実践することで、作業に必要なものがいつも決められた位置に、決められた数だけ置かれるようになり、誰もがすぐに必要なものを取り出して使えるようになります。

 

3定が徹底されていれば、工具や部品、資料などを探すために無駄な時間を費やすことがなくなり、必要なものがどこにあるのか、誰かに聞く必要もなくなります。新人や急に現場に入った人でも、迷うことなく作業に取り掛かれるでしょう。

 

また、使用後は必ず定位に戻すルールを徹底することで、次に使う人も同じようにスムーズに作業を開始できます。

 

3定は個人の作業効率だけでなく、チーム全体の生産性向上にもつながります。このように、必要なものが必要な時に必要な数だけある状態を作り出すことは、業務効率化に大きくつながります。

【コスト削減】必要なものがなくなる時に購入できるのでムダな購入をしなくなる

3定の実践により必要なものが定位に定量だけ保管されている状態を維持できるので、在庫量が一目で把握でき、適切なタイミングで必要な分だけ購入することが可能になります。

 

例えば、部品や消耗品などがすぐに見える状態になっていれば、なくなる前に発注や購入の手配ができます。急に在庫がなくなってラインが止まるなどのリスクが回避できます。

 

一方、3定が徹底されていない職場では、以下のようなムダが発生します。

 

  • 在庫切れに気づかず、必要な時に必要なものが使えない
  • 在庫量が把握できないため、必要以上の量を発注してしまう
  • 定位が決まっていないため、同じものを重複して購入してしまう

 

このようなムダは、直接的な購入コストの増加だけでなく、作業の停滞や納期遅延などの機会損失にもつながります。コストの増加や機会損失を考えると、常に3定を決めて実践することはムダを削減し、コストの最適化を図る有効な手段といえます。

【リスク軽減】必要なものの紛失や商品への異物混入を防げる

3定を徹底することは、必要なものの紛失や商品への異物混入を防ぐうえでも非常に重要です。

 

もし作業に必要なもの(工具や部品、書類など)が定位に保管されていなければ、どこに何があるのかわからなくなり、必要な時にものが見つからず、作業が滞ってしまうでしょう。さらに、紛失したものを探すために無駄な時間が発生し、生産性の低下にもつながります。

 

また異物混入は、定位が決まっていない状態で、作業に関係のないものが現場に置かれていることが一要因です。

 

作業に関係ないものが誤って製品に混入してしまうと、品質問題や安全性の低下につながりかねません。異物混入が発生した場合、回収コストや信用失墜など、企業に大きな損害を与えるリスクがあります。

 

紛失や異物混入のリスクは、3定を適切に運用することで大幅に軽減できます。

 

  • 定位を決めることで、ものの置き場所が明確になり紛失を防げる
  • 定品を決めることで、現場に不要なものを置かない習慣がつき異物混入のリスクが下がる
  • 定量を決めることで、必要な分だけ保管されてものがあふれて紛失や異物混入につながるリスクを減らせる

 

このように3定は品質管理や安全管理の面でも大きなメリットをもたらします。リスクを未然に防ぎ、安心・安全な職場を作るためにも3定の実践を目指しましょう。

5S3定を取り入れるときの7つのポイント

5S3定を取り入れることで現場の環境改善や作業効率の向上、ムダの削減などを図ることができます。ただし、5S3定を職場に導入し、効果を感じるには、あらかじめ7つのポイントを押さえておく必要があります。

 

  1. 遠くからでも見やすい表示で保管場所を決める
  2. 備品や棚に番号をふる
  3. 全体像がわかるロケーションマップを作成する
  4. 種類か作業内容で分類するか統一する
  5. 使用頻度・作業工程・重量を考えて場所を決める
  6. 一定期間(1カ月など)で使う量を基準にする
  7. 従業員同士で3定の実施有無を確認し、習慣づける

 

ここで紹介するポイントを参考に、実践的な取り組みを進めていきましょう。

1.遠くからでも見やすい表示で保管場所を決める

5S3定を実践する上でまず取り組むべきことは、定位(定められた位置)を明確にすることです。具体的には、遠くからでも一目で認識できる大きさと色の表示を用いて、物の保管場所を決めていきます。このとき、現場の誰もが直感的に理解できるようなデザインであることが重要です。

 

例えば、フロア上にテープで枠を描いたり、棚の縁に色分けしたラベルを貼ったりするなど、視覚的にわかりやすい方法を採用しましょう。

 

さらに、定位の表示だけでなく、形跡管理も併せて実施することをおすすめします。形跡管理とは、物の輪郭に沿って線を引いたり、写真を撮ったりして、あるべき状態を記録しておく手法です。形跡管理をおこなうことで、物の紛失や置き忘れに気づきやすくなります。

 

ただし、定位の設定には以下のような注意点もあります。

 

  • 現場が状況変化に対応しにくく、定位が形骸化する
  • 定位の表示が煩雑になり、かえって見にくくなる
  • 定位の設定に時間がかかり、現場の負担になる

 

これらの課題を解決するには、現場の意見を十分に取り入れながら、柔軟に定位を見直していくことが大切です。また、定位の表示方法は、シンプルで統一感のあるものを選ぶようにしましょう。

2.備品や棚に番号をふる

備品や棚など管理対象となる物や保管場所に対して、一意の番号を割り当てることも定位を徹底するために有効な方法です。

 

例えば、工具や備品に番号を付けて、対応する棚の位置も番号で示すことで、誰もが迷わず正しい位置に物を取りに行けるようになります。また、棚の番号と物の番号を紐づけてリスト化しておけば、在庫の把握も容易になるでしょう。

 

ただし、番号の付け方には注意が必要なので、以下のような点に留意しましょう。

 

  • 番号の付け方があいまいだと、かえって混乱を招く
  • 番号が多くなりすぎると、管理が煩雑になる
  • 番号の表示が劣化・剥がれすると、識別できなくなる

 

これらの課題を解決するためには、番号の付け方のルールを明確に定めることが大切です。例えば、「棚番号-物番号」といった形式で統一したり、物の特性に応じて番号の振り方を工夫したりするなどの対策が考えられます。

 

また、番号をふる対象も耐久性のあるラベルを使い、定期的に表示の状態をチェックするなど、番号が常に明瞭に認識できる状態を保てるように心がけましょう。

3.全体像がわかるロケーションマップを作成する

5S3定を推進する上で現場の全体像を可視化することは非常に重要であり、そのための有効なツールがロケーションマップです。ロケーションマップとは、現場のレイアウトを図面化し、物の保管場所や動線などを明示したものです。

 

例えば、工場の場合は、機械設備や備品、材料などの配置を図面上に落とし込み、番号や色分けで表示することで現場の状況が直感的に理解できるようになります。また、事務所の場合は、書類の保管場所や必要な物の位置を明示することで業務の効率化につながるでしょう。

 

ただし、ロケーションマップの作成には以下のような注意点もあります。

 

  • 現場の状況変化に対応できるよう、定期的に更新する必要がある
  • 詳細すぎると、かえって見にくくなってしまう
  • 作成に時間と手間がかかり、現場の負担になる可能性がある

 

これらの課題を解決するには、現場の意見を取り入れながら、適切な抽象度でマップを作成することが大切です。

 

マップの作成には現場の主要メンバーを巻き込み、実際の運用を踏まえた内容にすることが重要です。また、完成したマップは、誰もが見やすい場所に掲示し、積極的に活用していきましょう。さらに、定期的にマップの内容を確認し、改善点があれば話し合いの上で修正していくことがマップの有効性を高めることにつながります。

4.種類か作業内容で分類するか統一する

5S3定を進める際には物の分類方法を統一することも非常に重要です。分類の基準としては、主に種類と作業内容の2つの方法があります。

 

種類で分類する場合は、物の特性(材質、形状、用途など)に基づいて分類し、作業内容で分類する場合は、物がどの作業で使用されるかに基づいて分類します。

 

例えば、工具を種類別に分類してそれぞれの保管場所を決めることで、必要な工具をすぐに取り出せるようになります。また、作業工程ごとに材料や部品を分類することで、作業の流れに沿った物の配置が可能になり、効率的な動線が確保できます。

 

ただし、分類方法の統一には注意点もあります。

 

  • 現場の実情に合わない分類方法だと、かえって使いづらくなる
  • 分類が細かすぎると、管理が煩雑になり、現場の負担が増える
  • 分類方法の変更が難しくなり、柔軟性が失われる可能性がある

 

これらの課題を解決するには、現場の意見を十分に取り入れながら、適切な分類方法を選択することが大切です。

 

分類方法は固定化せず必要に応じて見直しを行い、より使いやすい方法を追求していくことで実用的な運用が可能になります。分類方法の統一には、現場の主要メンバーを巻き込み、実際の運用を想定した議論を重ねることが重要です。また、従業員のなかで混乱しないためにも、決定した分類方法は全員に周知徹底していきましょう。

5.使用頻度・作業工程・重量を考えて場所を決める

5S3定における定位の設定では、単に物の種類や数量だけでなく、使用頻度や作業工程、重量などの要素も考慮に入れることが重要です。各要素を踏まえて保管場所を決めることで、より効率的で安全な職場環境を実現できます。

 

例えば、使用頻度の高い物は手の届きやすい位置に配置することで、無駄な動作が減り、作業効率が上がります。また、作業工程に沿った配置をおこなってスムーズな動線を確保できれば、ムダな移動を削減できます。重いものは、床面に近い位置に配置するなど、安全面に配慮した定位設定が重要です。

 

ただし、使用頻度や作業工程、重量を考慮した定位設定する際は、以下の注意点に留意しましょう。

 

  • 要素間の優先順位付けが難しく、判断に迷うことがある
  • 要素が変化した際に、定位の見直しが必要になる
  • 現場の意見が反映されにくく、使いづらい定位になってしまう可能性がある

 

これらの課題を解決するには、作業する際の優先順位を明確にして、定期的に使用頻度や作業工程、重量の変化をチェックし、必要に応じて定位の見直しをおこなう必要があります。また、定位設定の際には、現場の主要メンバーを巻き込み、実際の作業を想定したシミュレーションをおこなうことも有効です。

6.一定期間(1カ月など)で使う量を基準にする

定量設定では、一定期間(1カ月など)で使用する量を基準にすることが効果的です。

 

具体的には、過去の使用実績や生産計画などをもとに、一定期間で必要となる物の量を算出し、その実績や計画に基づいて定量を設定します。この方法を採用することで、過剰在庫によるスペースの圧迫を防ぎ、必要な物を必要な時に必要な量だけ確保できます。

 

ただし、一定期間の使用量を基準とした定量設定には、以下のような注意点もあります。

 

  • 使用量の予測が難しく、過不足が生じる可能性がある
  • 一時的な需要増加に対応しきれず、業務に支障をきたすことがある
  • 定量設定の見直しを怠ると、実情に合わない量になってしまう

 

これらの課題を解決するには、使用量の予測精度を高めるための情報収集と分析が重要です。具体的には、定期的に使用量の実績をチェックし、乖離がある場合は速やかに定量の見直しをおこないましょう。また、一定期間の使用量は固定的ではなく、状況変化に応じて柔軟に見直しができるような仕組みを整えておくことが必要です。

7.従業員同士で3定の実施有無を確認し、習慣づける

5S3定を職場に定着させるためには、従業員一人ひとりが主体的に取り組むことが不可欠です。そのためには、従業員同士で3定(定位・定品・定量)の実施状況を確認し合い、習慣づけていくことが効果的です。

 

具体的には、始業時や終業時、あるいは一定の時間間隔で、担当エリアの3定が守られているかをペアやグループで確認します。この取り組みを通じて3定に対する意識が高まり、自発的な行動につながっていくでしょう。

 

ただし、従業員同士の確認には以下のような注意点もあることに留意しましょう。

 

  • 形式的なチェックになってしまい、本質的な改善につながらない
  • 人間関係の悪化やハラスメントにつながる可能性がある
  • 一部の人に負担が偏ってしまい、モチベーションが下がることがある

 

これらの課題を解決するには、確認の目的や方法を明確にし、建設的な議論ができる環境を整えることが大切です。

 

また、チェックシートや評価基準を設けるなど、客観性を担保する工夫も必要でしょう。確認の実施にあたっては、現場のリーダーがファシリテーターとなり前向きな話し合いを導き、良い取り組みは積極的に評価し、全体で共有することでモチベーションを高めていくことが重要です。

一度で最適な場所を見つけるのは難しいので日々改善していこう

本記事では、5S3定(定位・定品・定量)の実践方法と、それによって得られるメリットや注意点について解説しました。3定を決める目的は、整頓を徹底してムダをなくし、生産性や安全性を高めることです。そのためには、遠くからでも見やすい表示で保管場所を決め、備品や棚に番号を振るなど、視覚的に管理しやすい工夫が有効です。また、ロケーションマップを作成することで、現場の全体像を把握しながら、効率的な配置を実現できます。

 

ただし、一度で最適な3定を決めるのは難しく、現場の状況も常に変化するため、定期的な見直しと改善が欠かせません。従業員同士で3定の実施状況を確認し合い、PDCAサイクルを回しながら、より良い方法を追求していくことが大切です。

 

3定は、どんどん改善していくことが何より重要で、最初は完璧でなくてもまずは実践してみることから始めましょう。場所や物、量も、繰り返し改善を重ねることで次第に最適化されていくため、一人ひとりが主体的に関わり、働きやすい職場環境を目指していきましょう。

 

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