HACCPでは不十分!フードディフェンスで安心安全を確保しよう

 

フードディフェンスという言葉を知っていますか?これはニューヨークの世界貿易センタービルに旅客機が追突した同時多発テロをきっかけに始まった食品の安全を確保する取り組みになります。

 

HACCP認証を取得していてもフードディフェンスの導入はしていない企業も多いはずです。そこで今回は、フードディフェンスの特徴や必要性について解説していきます。

 

フードディフェンスとは

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フードディフェンスとは、意図的な危害が加えられないように食品の安全性を確保する取り組みで、日本では食品防御とも呼ばれています。

 

もともとフードディフェンスは、2001年にアメリカで起こった同時多発テロが大きなきっかけとなり、生物化学兵器による被害を最小限に抑えるために始まった取り組みです。

 

その後、日本でも冷凍食品に毒物や農薬が混入される事件が多発し、食品の安全性に消費者の関心も高まりました。そんな社会の風潮の中で、フードディフェンスを取り入れる食品企業が増加傾向にあるのです。

フードセーフティとは異なる

フードディフェンスと似た言葉にフードセーフティがあり、同じ意味と勘違いしている人も多いですが、この2つの意味はまったく異なります。フードディフェンスは意図的な異物混入を防止する取り組みを指し、フードセーフティは意図的ではない異物混入を防ぐ取り組みです。

 

「異物を混入させない」という意味では同じですがニュアンスが異なるので、意味をはき違えないように注意しましょう。ただ、食の安全性を守るという意味ではどちらも重要な取り組みになります。

効果的なフードディフェンス対策

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フードディフェンスを取り入れる企業は多いですが、取り組みは現場によってさまざまです。そこで、フードディフェンスの効果的な対策を紹介していきます。

私物の持ち込みを禁止する

異物を混入させるのは外部の人だけではなく、工場で働く社員やスタッフであるケースも考えられます。そのため作業中に不要なものが工場内に持ち込まれないように、私物の持ち込みを禁止することはフードディフェンスを実施するうえでのひとつの方法です。

 

工場内に私物を持ち込ませないだけで、異物混入のリスクが低減され、食品の安全が守られます。中にはルールを破る人もいるので、あらかじめポケットが付いていない制服や私物を入れられるクリアポーチを支給する工場もあるようです。

セキュリティの強化

従来であれば、工場内に誰が入ったのかまったく管理されていない工場も少なくありませんでした。ただ、フードディフェンスを取り入れる企業では、入退出者の履歴を管理できる出入管理システムを活用するケースも増えています。

 

入退出者の履歴管理をすることで不審者が工場内に入ることを防止でき、もし工場内で何か問題が起こったときには原因も突き止めやすくなります。実際に工場で働く社員やスタッフの意識も変わるため、セキュリティ面における効果は抜群だといえます。

コミュニケーションの円滑化

一般的に食品の工場ではマスクと帽子を装着するので、作業中は作業者同士の顔を確認することができませんでした。そのため制服を着用していれば、社員やスタッフに簡単に成り済ませて工場内に入ることも可能だったのです。

 

フードディフェンスを取り入れる工場では、クリアマスクやフェイスシールドに変えてお互いの顔を確認できるようにして犯罪を事前に予防する対策が行われています。

 

顔を見て会話ができることにより、工場内のコミュニケーションが円滑化。お互いを監視する効果も期待できるため、異物混入のリスクを低減させることが可能です。

フードディフェンスの必要性

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意図的な異物の混入を防ぐことは食品を管理するうえで重要なことですが、わざわざフードディフェンスを取り入れる必要性はあるのでしょうか。そこで、フードディフェンスの必要性について説明します。

HACCPだけでは安心できない

食品への混入を防止する取り組みとして、フードディフェンス以外にHACCPもあります。HACCPとは、1960年代のアポロ計画が進められていた時期にNASAを含むアメリカの各機関によって考えられた管理手法です。

 

食品への管理システムとしてHACCPが十分に機能している企業には、第三者機関からHACCP認証を取得することができます。しかし、食品の生産から消費者に届くまでの全段階で予測しうる危害を分析するHACCPは、全体的に食品危害の予防に取り組むフードディフェンスに劣る面があり、HACCP認証だけでは安心できない部分があるのです。

 

HACCPだけでなくフードディフェンスも合わせて取り組むことで、より食品危害のリスクを低減させることができます。

まとめ

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食品を取り扱う企業は、少しの異物が混入しただけでも顧客や消費者の信頼を失いかねないので、食品危害のリスクを最小限に抑えるためにも徹底した管理が必要不可欠です。

 

意図的な異物混入を防止するフードディフェンスは、不審者の侵入を防ぐだけでなく工場で働く社員やスタッフの意識改革にもつながります。工場全体でフードディフェンスに取り組めれば、食品危害のリスクも低減可能です。

 

HACCPだけでなくフードディフェンスも合わせて導入し、生産から消費者に届くまでの全工程を徹底管理して意図的な異物混入へのリスクを回避しましょう。

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