HACCPの義務化はいつから対応?HACCPについても簡単に解説

食品関連の会社にとって、対策が必須になるような大きな法改正が近年施行されています。HACCPの義務化もその一つです。

 

そこで今回は、対応を迫られているHACCPについて紹介します。HACCPはいつから対応が必要なのか、どんな対応が必要なのか、そもそも何についての規格なのかなどを確認していきましょう。

HACCPとはどんな規格か

まずはHACCPとはどんな規格なのかと、対応の義務化とは認証や資格取得などをしなければならないのかを見ていきます。

食品の衛生管理システムのこと

そもそもHACCPとは、「食品の衛生管理システム」のことです。食品の安全性を高めることで、消費者が安心して食べられることや信頼性の向上によって食品の競争力を上げられることなどのメリットが。もともとあったこの規格について、対応の義務化が始まっていくことになります。

仕入し提供に至るまでの工程を管理する

HACCPの基本的な考えには「7原則12手順と呼ばれるガイドライン」があります。それに従って食品の仕入をおこない、加工をして、顧客に提供するまでのすべての工程を監視・管理するという内容です。食品には異物混入や産地偽装など消費者が安心できないさまざまな悪いニュースが報道されることもあります。しかし、食品を仕入してから提供に至るまでのすべての工程についてきちんと管理されているところで作られていれば安心感があるでしょう。すべての段階で責任をもった対応ができるようにするというのがこの規格の目的です。

認証や資格は取らなくていい?

ひとつの規格でもあるHACCPには、認証制度や対応した資格などもあります。義務化されるということで、これらをとる必要があるのか不安な人もいるでしょう。

 

結論からいうと、義務化への対応だけが目的なのであれば、別段HACCPの認証を取得したり資格を取ったりということは必要ありません。義務化されるのはあくまで「HACCPの考えに基づいた食品管理システムを作り、食の安全を保てるようになっているかどうか」です。

 

ただしその上でHACCPの認証や資格といったものを取ることで、「この企業はHACCPについて詳しく、積極的に対応している」というアピールにはなります。その企業の食品衛生についての信頼性が増し、イメージアップをはかることができるので、せっかくHACCPの対応をするのであれば認証取得も考えてみてもいいでしょう。

 

なお、認証の場合には「企業自体の取り組みに対して第三者機関が保証する」というもので、資格は「個人に対してHACCPの仕組みをよく知っていることを認める」という違いがあります。

 

HACCP義務化はいつから?義務化への流れ

HACCP義務化はいつからなのかや義務化への流れも確認しましょう。

対応必須になるのは2021年6月~

すべての食品関連の会社でHACCPの完全な義務化がされるのは、2021年6月以降からです。しかし、通常業務もありなかなか対応ができないものなので、後回しにしてしまうとすぐにその日が来てしまいます。HACCPは食品管理のシステムのことなので、すぐに導入しようとしても多少なりとも時間はかかってしまうでしょう。早めに対応することをおすすめします。

2018年6月可決。法案は2年間にわたって施行

HACCPに関係する法律は2018年6月に可決されました。法案にはHACCPについてだけではなく、そのほかにも営業許可制度を見直すなどさまざまな内容も含まれているものだったこともあり、2年間に渡って施行されたのです。関連している改正食品衛生法は段階的に実施されており、広域連携については2019年度中に施行をしています。

2020年6月に義務化の改正法自体は有効に

「義務化の対応を必ずしなくてはならないのは2021年6月からだ」と先述しましたが、実際には2020年6月時点で義務化に関連する改正法自体は有効になっています。しかし2020年の時点で法律の施行はされるものの、その後1年間は経過措置として猶予の期間があるのです。そのため、この段階ではHACCPの対応がまだできていなくても問題ありません。

猶予期間1年間、2021年6月に完全義務化

その猶予期間である1年間が過ぎ、2021年6月になるとHACCPの完全義務化が始まります。2021年6月以降の段階でHACCPの衛生管理システムが導入できていない会社については食品衛生法の違反にあたるようになるのです。この時点までには必ずHACCPの対応を終わらせておくように気をつけてください。

HACCPに関係する法律とは

HACCPに関係する法律についても確認しておきましょう。

改正食品衛生法 五十条に記載

HACCPに関連している法律は「改正食品衛生法」です。その中の五十条に記載がされています。

 

「施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置について、厚生労働省令で、次に掲げる事項に関する基準を定める」として、「施設の内外の清潔保持、ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理に関すること」また「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組に関すること」とされているのです。

厚生労働省の定めを遵守する

HACCPに沿った衛生管理の制度化は、厚生労働省がおこないました。「営業者は、前項の規定により定められた基準に従い、厚生労働省令で定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければならない」と記載もされています。改正された食品衛生法の中では罰則までは決められていないものの、指導の対象となってしまうでしょう。

 

また、条文の中には「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第一項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる」という記載もあります。都道府県主体で条例として、HACCPの対応をしなかった事業者に対して罰則を作ることもできるのです。

 

これは都道府県ごとの対応によって変わってくることですが、そもそもこれに当てはまらないように最初から気を付けたほうが良いでしょう。

 

なお、もともとHACCPの認証制度の1つである総合衛生管理製造過程は、厚生労働省によって認証されていました。ですが、こちらは今後廃止されることが決定しています。これからもし認証制度を受ける場合には、業界団体が認証しているHACCPか、地域認定のHACCPか、どちらかを取得するということになるでしょう。

と畜場でも対応が義務化

改正された法案は、食品衛生法だけではありません。そのほかにも、「と畜場法」や「食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律」も入っています。そのため、基本的にはすべての食品事業者や、と畜業者、食鳥処理業者が対応することになるのです。一般の衛生管理にプラスしてHACCPに合わせた衛生管理の実施が求められることになるため、気を付けましょう。

まとめ

2020年6月に施行され、その後1年間の猶予期間ののちに全食品関連会社の対応が義務化されるHACCP。義務化していないことによる罰則は改正食品衛生法に載っていないとはいえ、条例で罰則を定めることもできるため早めの対応が求められます。HACCPとはどんなものかなどを知り、食品衛生管理のシステムを自社に導入するためには時間が必要なので、参考にして早めに対応するようにしましょう。

 

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