ISOシリーズとは?簡単に基本情報をチェックしてみよう
食品製造業
2020.09.23
2024.02.29更新
いきなりですが、ISOという言葉を知っていますか?テレビやCMで頻繁に登場するほどポピュラーなものではありませんが、製造業や食品業などで働いているのであれば、ぜひ覚えておくべき言葉と言えます。
そこで今回は、ISOの基本情報やその歴史、メリット・デメリットに至るまでご紹介。ぜひこの機会に、ISOの基礎をチェックしてみましょう。
ISOとは何か?基本情報
ISOは意外にも身近なことへの関連もあり、知っておいたほうが良い言葉です。そこで、まずはISOの意味や活動内容といった基礎的なことを紹介します。
国際標準化機構の略称がISO
ISOとは国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称であり、スイスのジュネーブに本部があります。162もの標準化団体によって構成されており、製造業や食品業だけではなく、医療や農業といった分野にも展開。現在では、ISOという言葉自体を国際規格と呼ぶケースもあります。
なお、日本の場合は日本産業標準調査会という組織があることをご存知でしょうか。英語では「Japanese Industrial Standards Committee」と表記されており、略称でJISとされています。
JISのマークはさまざまな商品に付けられており、一度は見たことがあるかもしれません。以前の組織名は日本工業規格でしたが、2019年の法改正によって改名。現在の日本産業標準調査会となりました。
ISOはどのような活動をしているのか
ISOの活動内容は、製品やサービスなどに対して国際的な標準としての規格を制定するというもの。例えば、非常口に設けられている緑色の人間が脱出しているようなマークも国際的な標準として決められており、そのことから世界各地で使われています。おそらく、海外へ行ったことある方であれば何度もそのマークを見ていることでしょう。
なお、ISOに関する具体的なメリットやデメリットは他の項目で紹介しているため、ぜひそちらをご覧ください。
ISOが歩んだ歴史
ISOは、万国規格統一協会という組織を前身として生まれました。万国規格統一協会が生まれたのは1926年で、ニューヨークにて設立。ただし、第二次世界大戦の影響によって活動を停止することになりました。
戦後は、国際連合規格調整委員会によって新しい組織作りが提案され、1947年2月に業務が開始。日本は、1952年に加盟しました。
ISOを取得する方法は?
ISOを取得するためには、複数回の審査が必要です。細かいところは各規格によって異なるため、どのISOを取得したいのか明白にした上で調べてみましょう。
また、ISO取得をサポートしてくれる企業もいくつかあるため、そのような企業に相談してみるのもおすすめです。ただ。ISOは取得すれば終わりというものではないため、取得後のことも考えておきましょう。
ISOにはさまざまな種類の規格がある
ISOは、ここですべてを紹介することができないほどさまざまな規格があります。そこでこの項目では、数多くある規格の中から3つをピックアップして紹介。
今回は、ISO9000とISO14000、ISO22000をピックアップしました。もしかすると、聞いたことある方もいるかもしれません。
ISO9000シリーズ
ISO9000シリーズとは、品質マネジメントシステムに関する規格のこと。「品質マネジメントシステムとは?」と思うかもしれませんが、これは製造物やお客様に提供するサービスにおける品質を管理および監督するシステムのことを指します。
品質という言葉自体は古代ギリシアまで遡れますが、重要視され始めたのは20世紀ごろです。なお、品質の定義に関しては一般的に「企画の品質」「設計の品質」「製造の品質」「サービスの品質」という4つに分けられるとされています。
特にISO9001は、ISO9000シリーズの代表的なもの。最も普及しているマネジメントシステムの規格とされており、170ヵ国以上で利用されています。
ISO9001はどんな業種でも取得でき、要求事項としては「一貫した製品・サービスの提供」と「顧客満足の向上」の2つ。効果としては、コンプライアンスの推進やリスクマネジメント、改善していくことによって生み出される企業価値の向上などが挙げられます。
ISO14000シリーズ
ISO14000シリーズは環境マネジメントシステムに関する規格で、環境ISOと呼ばれることもあります。1992年の地球サミットがきっかけであり、1996年に発行がスタート。
2004年にはシリーズの1つであるISO14001の規格改定が行われました。このシリーズは環境マネジメントシステムを中心に、環境パフォーマンスの評価や環境監査などの規格によって構成されています。
上記で登場したISO14001ですが、これはISO9001同様に取得できる業種に制限がありません。環境パフォーマンスの向上や環境目標の達成などを狙いとしており、環境リスクの軽減および回避やコンプライアンスの推進、KPIの管理などの効果があります。
環境のことを考えているのであれば、ぜひISO14000シリーズをチェックしてみるとよいでしょう。
ISO22000シリーズ
食品業に関わる人であれば、ISO22000シリーズはぜひチェックしておくべき規格です。ISO22000シリーズは、食品安全マネジメントシステムに関する規格であり、対象はフードチェーンに関与する全組織。この規格の中には、2020年6月から義務化されたHACCP(ハサップ)やISO9000シリーズの1つであるISO9001も含まれており、フードセーフティーの1つとも言えます。
おまけですが、HACCPというのは食品の製造で安全を確保するための方法のことを指します。「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略称であり、1973年にアメリカで取り入れられたことから普及し始めました。
現在では、EUやオーストラリア、カナダなどでも取り入られており、日本同様に義務化されています。
ISOを取得するメリット
上記では基本的な情報や主な規格などについて紹介しましたが、そもそも規格を取得するメリットとはどのようなものなのでしょうか。「わざわざ取得するのは面倒だ」と思っている方がいるかも知れませんが、きちんと取得するメリットがあります。
信頼感が向上する
ISOを取得することにより、社会的な信頼感が向上します。例えば、ただ食品の安全を守るよりも、ISOによる承認をもらった上で守ったほうが体外的なアピールとしても使えるでしょう。
その上、国際規格ということもあって製造物であれば、海外への展開もしやすくなるという利点があります。
システムの明確化
仮にマネジメントシステムを導入したとしても、具体的にどのような流れで進められるのかハッキリしていなければ、上手く活用できないどころか従業員に混乱を与えてしまうかもしれません。ISOでは、そのようなことを防ぐ意味でもシステムの明確化を行います。
ハッキリしていれば、製造物やサービスの質を保つことが可能。それだけではなく、どんな人が仕事しても効率よく進められるようになります。
第三者視点のチェックがある
ISOに承認してもらうためには、第三者機関からの監査をクリアしなければなりません。第三者からチェックしてもらうことにより、内側からでは見つけられなかった問題点が分かる可能性があります。
また、ISOというのは一度承認してもらえればOKというわけではなく、定期的な監査にも対応しなければなりません。ただ、継続的なチェックがあることでそのシステムの形骸化も防ぐことができ、長期的にシステムの運営を続けられます。
ISOを取得するデメリット
メリットがあるということは、その反対としてデメリットもあります。ここまで読むと魅力的なものに思えるかもしれませんが、デメリットもチェックした上で考えることが大切です。
すぐに効果が出るものではない
ISOというのは取得したその日から効果が出るものではなく、即効性を求める方には向いていません。効果が出始めるのは2〜3年経った後とされており、長期的な運営が求められます。
ただ、それでも信頼感の向上やシステムの明確化といったメリットを考えると、取得する価値があるのかもしれません。
会社の雰囲気が悪化する恐れがある
ISOでは定期的なチェックを行って改善を進めていくことが大切ですが、その改善の理想が高すぎて社員との関係性がチグハグになってしまう恐れがあります。そうなれば会社全体の雰囲気が悪化してしまうため、製造物やサービスへの熱意が削がれてしまうかもしれません。
ISOは取得した後が重要であるため、ただ取得すればいいと考えず、きちんと話し合って取得するかどうか決めましょう。
改善・改変ごとに対応しなければならない
上記以外にも、たびたび起きる改善・改変に対して対応しなければならないというデメリットもあります。改善・改変するということは、その分手間がかかってしまうということ。
もちろん、ISOを維持する上では大切なことですが、その都度対応するのは大変に思えるかもしれません。
まとめ
今回はISOの基本情報について紹介しました。ISOとは国際標準化機構の略称であり、ISO7010やISO9001などの国際的な規格を数多く設けています。ただ、必ず取得すれば良いものではなく、その分の手間がかかることも考えなくてはなりません。
各規格はそれぞれ内容が異なるため、この記事でISOの基礎を覚えた上で、気になる規格をチェックしてみてください。
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