ISOとは簡単に言うと何?取得するメリットや注意点を解説

世界のあらゆる標準を定めるISO。名称は聞いたことはあものの、ISOがどのような団体なのかよく知らない人も多いでしょう。そこで今回は、ISOの基本的な情報をわかりやすく解説します。ISOの種類や取得するメリットも紹介するので、企業で認証を受けるかどうかの判断材料にしましょう。

ISOとは?ISO認証の違いは?

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それでは、ISOの基礎情報を解説します。ISOと混同されやすいISO認証との違いも説明するので、しっかり理解していきましょう。

ISOとは

ISOとは、スイスのジュネーブに本拠地がある国際標準化機構のことです。国際標準化機構の英語表記は「International Organization for Standardization」になるため、その頭文字を取った略称「ISO」と呼ばれています。

 

そもそも国際標準化機構とは、その名の通り、世界の標準(規格)を決める団体です。例えば、案内標識や看板、長さや質量、時間を表す単位、コンセントやプラグなどが挙げられます。これらを国際的に標準化することで、私たちは世界中どこにいても不便なく生活することができるのです。ちなみに日本の規格としてはJIS規格があります。

 

また、マネジメントシステムを対象とする規格も存在します。食品に関していえば、商品の品質やサービスを統一化することで安全・安心なものを消費者や顧客に継続的に提供することが可能です。しかし、ISOで定められた規格で商品やサービスを提供しているかを証明するにはISO認証が必要になります。

ISO認証とは

ISO認証とは、提供する商品の品質やサービスが水準以上であると認められたときに得られる認証証明書のことです。この認証証明書が発行され手元に届いたときに一般的に公開することができます。しかし、ISO認証を受けるのは簡単ではありません。

 

今までのやり方やマネジメントシステムのすべてを見直して改善し、会社の目的通りに稼働していることを第三者機関に証明することが必要です。また、ISO認証は取得して終わりではなく取得後もしっかり稼働しているかの審査が行われます。

 

取得から1、2年後には「維持審査」、3年後には「更新審査」を受けることが必須。つまりISO認証を受けてから毎年審査を受ける必要があるということです。ただ、この審査をしっかり通過することで継続的な信頼獲得を維持することができます。

 

ISOの種類 

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ISO規格にはさまざまな種類(シリーズ)が存在しますが、今回は食品会社に人気の高い代表的なマネジメントシステム規格を紹介します。どのISO規格を選ぶかは会社の目的次第なので、それぞれの特徴をしっかり理解して検討してみましょう。

ISO9001(品質)

ISO9001は、高い品質の商品やサービスを提供することを目的としたマネジメントシステムです。ISO9001を取得することで、業務効率の改善や組織体制の強化を図れたり社会的な信頼や顧客満足度を向上させたりする効果を得られるのが特徴。マネジメントシステムの中では最も普及している規格で、全世界で170カ国以上、100万以上もの会社や組織が利用しています。

ISO14001(環境)

近年社会的に注目度の高い環境問題に取り組み、環境パフォーマンスを向上させることを目的としたマネジメントシステムがISO14001です。規格の目的は、環境パフォーマンスだけでなく、会社が掲げる環境目標をしっかり達成することもISO14001の要求事項として定められています。環境リスクの低減や回避はもちろん、エネルギーや資源を効率よく使うことでコスト削減の効果も期待できるマネジメントシステムです。

ISO45001(労働安全衛生)

ISO45001は、会社で働く従業員が安全な労働環境で働けることを目的としたマネジメントシステムです。2018年3月に発行された新しい国際規格であるため、世界的でも大きな注目を集めています。

 

規格に従って労働環境を整備することで、従業員のモチベーションや満足度が高まったりパフォーマンスが向上したりするなどの効果が期待できるのが特徴です。新しい規格ということもあり取得している会社もそう多くはないので、ISO45001の認証を受けることで他社との差別化も図れるでしょう。

ISO27001(情報セキュリティ)

ISO27001は、会社の資産ともいえる情報の漏洩を防ぐことを目的としたマネジメントシステムのことです。顧客や消費者の情報を多く抱える会社は、情報が漏洩することで作業に支障をきたしたり消費者や顧客の信頼を失ったりする可能性があります。

 

そのため、ハッキングによる情報の盗難やデータの改ざんなどあらゆるリスクを踏まえて体制を整えることが大切なのです。ISO27001では、情報の機密性・完全性・可用性をマネジメントして、情報を守るだけでなく有効的に活用する仕組みを作ります。現代の情報化社会において注目度の高い規格だといえるでしょう。

ISO22301(事業継続)

地震や台風などの自然災害やシステムトラブルなど、作業を続ける上で困難となり得る脅威に備えて包括的な仕組みを作るマネジメントシステムがISO22301です。どのような問題が起こっても早急に復旧をして再開できるため、タイムロスを防げるのが大きなメリットになります。

 

また、事業を継続できる仕組みを作る中で業務効率の改善点も明確になるので、業務効率が上がり組織全体を強化する効果も期待できるのです。ISO22301認証を受けるまでにおよそ1年かかるため、早めに進めることが望ましいでしょう。

ISOを取得するメリット

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ISO規格の種類はさまざまで目的や得られる効果も異なります。しかし、そもそも会社がISO認証を受けるメリットがあるのです。ISOを取得するメリットは大きく分けて3つあります。それぞれ項目をチェックしてみましょう。

PDCAサイクルが作れる

ISO認証を受けるメリットは、PDCAの仕組みを作れるということです。PDCAとは、「Plan(計画する)」「Do(実行する)」「Check(確認する)」「Action(改善する)」の頭文字を取った略称で、業務や品質管理を継続的に改善する手法のひとつ。「Plan」から「Action」までを繰り返し行うことで、業務や品質を管理していきます。

 

ISO規格のマネジメントシステムを構築するには、PDCAサイクルを活用した標準化が欠かせません。PDCAサイクルで作業が標準化されると、全員が同じ手順で作業を行ったり、新入社員の教育にも活かせたりすることが可能です。PDCAを試行錯誤する中でムダな作業も明確になるので、業務の効率化も期待できるでしょう。

責任の所在が明確化する

ISOは個人ではなく組織全体を管理する仕組みを作るので、今までルールがなく漠然としていた業務手順や役割、責任を明確にすることができます。個人に能力の差があっても、組織で補うことで組織体制を強化できるのです。

 

また、役割や責任が明確化されることで自分の仕事に対する責任感が増すので、「今自分が何をすべきか」が明確になり、従業員はムダな作業で一日を終えることもありません。従業員一人ひとりのパフォーマンスが上がれば組織として強くなるため、仲間意識も高まり会社全体の雰囲気も良くなります。

消費者の信頼を獲得できる

ISOを取得する最大のメリットは、第三者機関から認証を受けた会社だということを公表できることです。ISO認証を受けた会社は、その規格のマネジメントシステム通りに実行している証拠でもあります。そのため、ISO認証はそのまま「信頼」へと繋がっていくのです。

 

近年は食品会社も数多くあるので、他の会社との差別化も難しくなっています。ISO認証を受けることで顧客や消費者の信頼を獲得できることはもちろん、独自でシステムを構築するのが困難な中小企業の中でも差別化を図り、顧客や消費者から選ばれる理由作りにも効果を発揮できるのです。

ISOを取得する際の注意点

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ISOを取得するのはメリットだけではありません。システムを構築する中で負担や問題が発生することもあるのです。そこで、ここからはISOを取得する際の注意点を紹介します。

文書化などの作業が増える

ISO認証に向けてシステムを構築する中で、文書や記録などの作業が単純に増加。今までの仕事に加えて作業が増えるので、負担や手間に感じる従業員が出てくる可能性が高いのです。そのため、なぜ文書化が必要なのかをシステム構築に携わる従業員に理解してもらう必要があるでしょう。

新システムに慣れるまで時間がかかる

文書化の作業を終えると、次は従業員がその指示通りに実行していきます。しかし、これまでの作業手順に慣れていた従業員は、新しいシステムに戸惑う人も少なくありません。また、完全に慣れるまでには時間がかかることもあります。事務局などの部署を設置したり、周りの同僚や上司がしっかりサポートできる体制を整えることが大切です。

ISOの効果はすぐに出ない

ISO規格のシステムを構築して認証を受け、実際にその通りに稼働すると業務効率が向上したり従業員同士の絆が深まったりなど、目に見える効果が出てきます。一方で、ISOを導入しても会社が何も変わらなかったケースも少なくありません。ただ、継続的に改善していくことで少しずつ効果が出始めます。すぐに効果が出る会社ばかりではないことを覚えておきましょう。

ISO取得にかかる費用

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実際にISO取得を目指すにあたり、必要な費用は「審査費用」と「更新費用」です。審査費用とはその名の通り審査を受けるための費用で、審査機関によって金額は異なります。

 

更新費用は、ISO認証を受けたあとに行われる更新をするための費用です。ISO認証後の更新は毎年行われるので、1年に1回必ず支払いが生じます。システムを作るにあたり参考資料やセミナー受講などその他の費用がかかる場合もあるでしょう。

 

また、システム構築や認証の手伝いなどISO取得に向けてあらゆるサポートをしてくれるコンサル会社に依頼する場合も別途費用が発生します。

まとめ

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ISO認証を受けるまでシステム構築など準備に追われるため従業員に負担をかけることもあります。しかし、今後の事業拡大を踏まえるなら、顧客満足度や業務効率の向上、組織体制の強化は避けて通ることはできません。ISO規格はさまざまな種類が存在するので、会社に適したマネジメントシステムを構築してみてはいかがでしょうか。これからの事業拡大に向けて会社の強みになってくれるでしょう。

 

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